東京サドベリースクールは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州の私立校サドベリー・バレー・スクールをモデルに、「東京にもサドベリースクールを!」という有志により2009年4月に開校した全日制の学校です。

私たちは子ども達に、一度の人生を自分らしく自由に、他者と共に豊かに生きてほしいと願っています。

そのために、生徒自身が自分の人生をつくる力をつけ、また社会の一員としての主体と責任感を育むサドベリー教育を実践しています。

子ども時代には、自分の興味のあることを探す自由、それらをとことん追求する自由、そして失敗も成功も経験できる自由を、毎日経験できるようにしてあげたい。

その経験は、その後の長い人生を自由に生きる土台になります。

サドベリーには、一般的な教育でイメージする学問教科やカリキュラムがありません。

これは自分の興味や関心、好奇心が持てるものを自分で探し、追求する教育方針のためです。

参考:生徒の1日の過ごし方

また、自分たちの社会に責任を持てる大人として育つことができるような環境や制度も整えています。

生徒たちは、スクールの経営から校則の変更、スタッフの雇用や入学から卒業承認にまで1票を持ち、決める経験と責任を学びます。

これらの経験は本物の自立心を育て、社会に出てから自由に豊かに生きる基礎となります。

東京サドベリースクール(以下 TSS)は開校以来、日本全国から様々な子どもたちが入学しています。

そして自分に向き合い続けてきた生徒たちは、それぞれが自分を見つめ探求し、進学したり社会人になった今も、自分の道を歩んでいます。

子ども時代に自分の人生を自分でつくる経験と、皆と共に自分たちの社会をつくっていく経験をしたい生徒にとって、昔も今もこれからも、TSSは子どもたちにその実践を積み重ねられる学校でありたいと考えています。

TSSは生徒とスタッフで一緒に「TSSを何のために続けていくのか?」その存在意義を『自立する人と社会が育つ学校』と定めました。

サドベリー教育というと世間では“自由”が強調されることが多いのですが、本校の本質は自立です。

TSSは自立した人だからこそ自由を適切に扱えると考えており、他者の自由を大切にするからこそ、自分の自由も保証されます。

生徒1人ひとりが個人の好奇心を追求できる自由の権利を保障するとともに、他者と共に生きるための社会性も大切にしています。

もし子どもが他者の自由を大切にせず自分勝手に育ったら、それは本人にも周りに人にも良いことではありませんね。

子どものことを本当に考え、自由だけでなく、自分たちの学校を一緒に運営することなどを通して、社会性も同時に学びやすくしています。

小説を書くことが大好きな生徒が、小説家の吉本ばなな氏にコンタクトを取り、作品の感想をいただいたり、作家の仕事について質問をさせていただきました。

TSSは、生徒がひとりの人間として自立して自由に、また社会に生きる市民として豊かに生きるには、「自分を育て、社会を学ぶ」必要があると考えています。

↓項目をクリックすると詳細が表示されます

在り方・生き方/非認知能力/認知能力

TSSで大切にしていることが、どう生きるのかという「在り方・生き方」です。

また実践されやすいのが自分を知る内省力や、自ら活動を生み出す自発性、人と物事を進めるコミュニケーション力などの「非認知能力」です。

「認知能力」は知識やスキルといった面で、生徒がサドベリー生として関わる分野や、個人として特定の分野に興味関心を持ち、夢中(フローやゾーン状態)になった時に発揮され、驚くべきスピードと忍耐力で習得されます。

非認知能力と認知能力はあくまで“能力”であり、在り方生き方という使い方の“方向”次第で喜びも悲しみも生み出せてしまいます。そのため、在り方・生き方を特に重視しています。

生徒自身が将来どのような道に進むとしても、どのような社会情勢になっていたとしても、在り方・生き方が根になり、非認知能力や認知能力が幹や枝葉となります。

その先に生徒それぞれの、在り方・生き方と非認知能力と認知能力が組み合わさった、結果という果実が実るのです。

自分を育てる

私たちは「人は本当にやりたい、必要だと感じたときに一番よく学ぶ」という考え方を大切にしています。

生徒は1人ひとりが違う存在であり、当然のことながら関心のある分野も関心を持つタイミングも違います。

そのため、スクールにはあらかじめ決められた授業がなく、自分で自由に1日をデザインできる教育システムとなっています。

生徒たちは誰かの用意したカリキュラムや選択肢の中から選ぶのではなく、自分のことは自分で決める経験をしていきます。

つまり自分を育てるのは自分であるということを実践できる場となっています。生徒達はまったくゼロベースの中から、自ら興味のあることや、すべきことを見つけ追及していく経験を積むことができます。

これが本当に徹底されているのが、他の教育にはないサドベリー教育の特徴です。スタッフと呼ばれる大人は、生徒たちが自ら自分を育てられる環境、個人の活動を自由に行える権利を持ちながら、その結果への責任も学べる環境を整えています。

社会を学ぶ

生徒は、スタッフと共に自分たちのスクールコミュニティーに必要なシステムを自分たちで作れる権利とその責任があります。

自分の属する社会を自分の手でデザインできる機会が与えられ、実践を積むことができます。

実社会でもお互いを尊重し合う必要があるように、この学校でも生徒とスタッフがお互いを尊重し合う必要があります。

ミーティングと呼ばれる話し合いにおいても、学校経営や校則づくり、スタッフの人選など、あらゆることに対して生徒もスタッフも自分の意見を伝えあい、平等に1票の権利と責任を行使できます。

皆のことは皆で決める経験。私たちはそれが社会で他人と生きるうえで必要なことだと考えています。

サドベリースクールは市民教育の実践の場であり、それはまた「社会の一員としてどう生きるか」という人格形成にもつながっています。

つまり生徒たちには「自分のことを自分で決められる権利と責任」があり、「自分たちも社会をつくっていく権利と責任」が与えられており、それらをいかによりよく使うかということを学んでいるのです。

生徒たちは「自分を知ること」「自分と他人を大切にすること」「社会の主権者であり責任感を持つ必要があること」を体験を通じて学んでいきます。

このような経験を積み重ねることによって、生徒たちが自立した大人へと成長していくことができると、私たちは考えています。

子どもたちというのは本当に様々な子がいて、この世に1人として同じ顔の人間がいないように、1人として同じ個性の子はいません。

その個性を大人になるまで大切にしながら、同時に生徒が社会の一員であることも体験的に学ばなければなりません。

TSSはサドベリー教育のもと、子どもの個性と社会性を大切にし、子どもが自分で自由に豊かに人生を生きる基礎経験ができる学校ですが、その教育実践は市民教育と人格形成を柱としています。

TSSはリトル社会と呼ばれることもあり、生徒たちは子どもながらにして大人と同じ社会環境で学びます。

子どもの権利を最大限尊重するTSSは、生徒一人ひとりに学校の経営権や人事権を左右する1票を与えています。

生徒たちは知識としてではなく実践のなかで「大いなる権利には大いなる責任が伴う」ことを学びます。

こうした経験や学びが、真に自立した責任ある自由人を育てると私たちは考えています。

また、自ら人生を切り開いていく底力をつけるために、あえて大人から準備しない、一方的に与えないことを大切にしています。

何でも与えられ、“してもらえる”ことが当たり前の世の中で、真に子どものことを想い、あえて与えず、“自ら動く力”を養いやすい環境をつくっています。

自分の興味関心を見つけ追求できる心に育つことは、人生を豊かにする土台になる。

もっと生徒たちの活動の様子をご覧になりたい方はこちらのページへ。

TSSは、自分の道を自らつくりたい子どものための学校ですが、その道も必要なものも、生徒によって様々です。

そのため特定のスキルや知識、学歴が必要な生徒もいれば、必要としない生徒もいます。

多様な能力を身につけたい生徒もいれば、ひとつの道を究めたい生徒もいます。

しかし生徒それぞれの道は違えど、その本質は自分の人生を生きているということ。

TSSの価値は、生徒が自ら自分と向き合い、自ら一歩を踏み出す。思いやりと責任感を持ち、他者を尊重する。この普遍の価値を実践できる点にあります。

このような学びを自らつくり社会に巣立った卒業生・同窓生をご紹介します。

自分自身のことを愛し、信じられる

在籍期間:8年

サドベリーがすべての人にとって正しい道だとは言えませんが、私にとってはいちばんよい教育だったと、違う道を進んでいる同じ年の子たちと交流して初めて、本当の意味でわかったと思います。

私が誰にも負けないものが1つだけあるとしたら、本当に自分のことを愛していて、信じてあげているということです。

自分を愛する、尊重するということは本当にシンプルで簡単そうに聞こえますが、実は危険なジャングルを生き残るよりも難しく険しい道のりだと思います。

私はまだまだ自分の中で足りないと思ったり、自分には価値がないと決めつけてしまう時もたくさんありますが、湧き出す噴水のように、自分に対しての愛が常に溢れているので、人に何か厳しいことを言われても自分の中心に戻れる気がします。

それはこれからの長い人生において教科よりもはるかに大切な学びだったと信じています。

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自分で「人生をどうしたいか」を考えられるようになった

在籍期間:3年

私は性格的にそこまでポジティブではない方ですが、サドベリーで自分で物事を考えて進めていく姿勢ができるようになってきたかと思います。

時には人に相談することも大事ですが、常に自分で「人生をどうしたいか」を考えられるようになりました。

ですので、物事の見方、姿勢、コミュニケーション力、考える力が身についたと思います。それは社会に出て、同年代と接してすぐに思ったことでしたね。

今の生徒たちに伝えたいことは、本人にエネルギーがあれば色々な体験をしたらいいということです。

私は今、英語の勉強を楽しんでいます。

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サドベリーで学んだ3つのこと

在籍期間:6年

僕がサドベリーに通って何を学んできたことは、3つほどあります。

1つ目が自分の力で自分で決めた目標に向かって動く力がついたと思います。自分から立候補して、率先してやってみる、意見をしっかり言う。

2つ目が自分の心をよく見ること、客観的に見られるようになっているなということ。

3つ目は、コミュニケーション能力がすごくついたかなと思います。自分はこれは一番自然についたなと思います。

公立の一般的な学校と、サドベリースクールの両方を6年ずつ通ってみて、まず「生徒・スタッフの関係」と、「生徒同士の関係」がサドベリーは違う。

どんな年齢の子でも、スタッフも自分達も1人の人間として接しています。そういう所が大きな違いかなと思います。

将来は、自分のペースで生きていきたいと思っています。僕はもともとすごくマイペースなのですが、そのペースを大切にしていきたいなと。

社会のペースもあるのですが、その中でも自分自身はちゃんと持っていけたらいいなと思いますね。あとは自分にすごく正直にいたい。

せっかくこうして自分を見つめる所にいるのですから、自分の好きな事や、自分に正直になって生きていければなと思っています。

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他にも料理が大好きになり今は自分のお店を経営している生徒、大好きなパソコンを使う3Dアニメーションの仕事に就いた生徒などもいます。

参考:サドベリー・バレー・スクール卒業生の進路と人生への満足度調査結果

このように、自分のしたいことを見つけて、社会でその道に進んでいる生徒たちがいます。

彼ら、彼女たちは時に自信を無くしたり悩みながらも、自分に向き合い新たな一歩を歩み続けています。

とことん自分に向き合った生徒たちは、自らの在り方・生き方をつくっていけるようになるのです。

自分の情熱に沿った活動をすると、人はその強みから能力を発揮しやすくなります。

また他者と共に生きていく力があれば、より平和で自立して、経済的にも豊かになりやすくなる。

企業の多くが人材に求める1位と2位を、最先端のスキルではなく「コミュニケーション力」と「自発性」としていますが、自分の関心の高い分野では人は自ら行動しやすくなり、また粘り強く続けやすくなります。

たくさんの物事について他者と話し合い、決定と実行を繰り返してきた生徒たちには十分なコミュニケーション能力が養われています。

逆に弱みや周りと同じことばかりにフォーカスし強みや個性のない人間になると、誰にでもできる仕事や機械などに置き換えられてしまう可能性が高まってしまいます。

これは何も現代だけの話しではなく、産業革命など歴史が証明しています。

そして他者と共存できなければ、平和や自立から遠のいてしまう。そのような人は豊かな経済活動からも遠のいてしまうことは想像しやすいでしょう。

子どもにどちらの育ち方をさせてあげたいか。

参考:保護者の声(TSSに通ってお子様にどんな変化がありましたか?)

また社会全体としても、どちらのように子どもが育つことが、子どものためにも文化的にも、そして経済的にも豊かになりやすそうでしょうか。

TSSという1つの教育の形の学校があることで、子どもの個性や人間性を育てられることと共に、結果的に社会経済活動にもポジティブな影響を与えることができます。

この他にもたくさんの生徒たちの声をご覧いただけます。

私たちは、全ての子どもも大人も自分の人生を生き、他者と尊重し合っている世界を目指しています。

そしてその世界は、子どもが自由に教育や育ち方を選べる社会でもあります。

TSSは、子どもが自分で自分を育てられる実践の場であり、子どもと一緒につくる理想社会の実験場でもあります。

私たちは生徒と共に『自立する人と社会が育つ学校』という本校の存在意義をつくりました。

この“人”とは、生徒だけではなくスタッフや保護者、そして全ての大人も含まれています。

自立した人は、自分を見つめ、自ら行動し、他者を大切にしています。1人ひとりがそのような人間に少しでも近付けたら、どんなに素晴らしいでしょう。

しかし、わたしたちはなかなか自分に向き合えず、他人のせいにしてしまいがちです。

たった2人でさえ尊重し合うことを忘れてしまう。

本校の生徒もスタッフも、まだまだ一緒に学び続けています。これは一生続く学びの旅でしょう。

しかしそのように日々学び続けることこそ、自立の道だと信じています。

自分も他者も大切にする自立した人が増えれば、自立した社会になります。

そのような社会が増えれば、自分や他者を攻撃したりコントロールしなくなります。その世界ではまさに平和と自由が満ちています。

私たちは、TSSが全ての子どもも大人も自分の人生を生き、他者と尊重し合っている世界へと続く、道の1つでありたいと願っています。

長文になりましたが最後までお読みいただきありがとうございます。

皆さまからよくいただく質問とその回答を『よくある質問』にまとめてあります。こちらもぜひご参照ください。

最後に

サドベリー教育を知識として理解することと体験して知ることには大きな開きがあります。

校内の雰囲気や生徒たちの表情や言動、スタッフの人間性、これらの要素は重要でありながら言葉ではお伝えできないものです。

TSSでは定期的に『学校説明会』と『学校見学会』を開催しておりますので、サドベリー教育に共感をもたれた保護者の方は、ぜひ一度、東京サドベリースクールにいらしてください。

スタッフ一同、皆様にお会いできる日を楽しみにしております。