学校生活について

サドベリー教育は、いわゆる一般的な教育・学校とは習得するものの目的が違います。

一般的な教育・学校は10教科前後の学問を習得したい子のための環境であり、その中に読み書き算数などがあります。サドベリー教育・スクールは生徒自身が自ら動く力や、社会の一員としてどうふるまうかを学ぶ環境となっています。

そのため、私たちは読み書き算数に関わらず、何かに動機づけて、こちらから「与える」ということをしておりません。何かをやりたい・必要だと本人が感じたときに、自ら動き何とかしていく力をつけていく教育となっています。
そのため、自分から動く力をつけたい子や、自分から動くことが好きな子にとって相性の良い教育となっています。

スタッフは生徒から教えてほしいという話があった時などに、本当に自分がやりたいのかの確認をし、その活動の約束を一緒に考え、学びが発生します。

その中で、読み書きや算数などを授業のように教えてほしいという生徒もいます。しかし、ある程度経済的に発達した地域の子どもというのは、身の周りに読み書きや算数を理解した大人や年長の子どもがいたり、また本や看板などの活字媒体といったものがあります。

その中からその子が必要だと感じた時に、自分にとっていい方法を選び、最も効率よく習得していくため、多くの場合はわからないことがある都度、自分で調べたり周りの人に聞いて習得していきます。

恐竜が好きな生徒はひらがなよりカタカナを先に覚えたり、料理が好きな生徒は料理のために計算を習得したりしています。自分の興味を追及するために必要なこととして習得していくことが多くなっています。

それはとても自然な学びであり、「何かを学ぶことはつらい」と思うことより「楽しい」と思える気持ちにつながりやすいです。子どもの長い人生を考えたら、このマインドを身につけていくことの方が大事なことだと考えています。

実際、多くの生徒たちは人生のある時点で、これからの人生で読むことや書くことが必要だと感じ、自ら習得したり周りの友人や大人に習っています。

本当に必要だと感じているので、あっという間に習得してしまっていることもよくあります。また自分のペースでゆっくりじっくり学ぶ生徒もいます。

サドベリースクールは生徒個人の活動は生徒自身に任せています。それは生徒が人生で自分のかじ取りを自分で行っていけるように。

そのため、スクールでは生徒たちが思い思いの活動をしています。その1つにゲームをしている生徒もいます。
スタッフからゲームに対して「止めなさい」と注意を促したり、「他の活動もしてみたら?」と誘導することは行いません。

ゲームをしてもしなくても、ほかの活動をしてもしなくても、それは自分で決めたこと。その責任は自分で取る必要があります。そういうことを生徒自身が学んでいく教育となっています。

またゲームは悪いことばかりではありません。ゲームを友達とやることを通じてコミュニケーションを取ったり、集中力や推測すること、共通の話題で盛り上がり仲良くなることを味わうことにもつながります。
これは将棋やチェスでも同じです。ゲームがだめで将棋は良いと思う気持ちは大人や時代の評価です。

卒業までずっとゲームをして「楽しかった子ども時代」を思い出に巣立つ生徒もいれば、ある生徒は2週間ゲームをやり続けて、全てクリアしたので、もうゲームは必要ないと全く見向きもしなくなり、その代わりに計算ドリルをゲーム感覚ではじめました。

とても面白かったようで、こちらもすぐに満足して次の興味に移っていきました。計算はずっとやっていてほしいと思いますか?全ての活動は等しく同じ価値があるというのが、サドベリースクールの考え方です。

一見、自由ばかりと思われる学校ですが、一般の学校より自由が大きい分、個人個人に全ての責任が任されています。たとえば、話し合い(ミーティング)で決められたルールは守らなければいけませんし、日々の学校生活では、時間になれば自分達が決めた掃除をしなければいけません。

自分の意見が通らず、他の生徒達の意見に従わなければいけないこと(そしてそれは応々にして好きではないこともある)もあります。さらに毎日の活動の中では自分で時間をコントロールして活動を決め、行ったことや結果に責任を持たなければいけません。

このコミュニティーを心地よくさせるために自分の主張をすることも必要ですが、他者の権利を守ることもとても重要です。それは非常に重要な学びだと考えています。

東京サドベリースクールは新しい教育実践の環境であるため、学校教育法第一条にある“学校”としておりません。

そのため、東京サドベリースクールが独自に用意した卒業証明書はありますが、法的な卒業資格はありません。

サドベリークール通いながら、一条校の卒業資格や、卒業と同程度の資格を得て大学進学者や就職などにつながる選択肢を得たいということであれば、下記のケースが一般的となります。

小学生・中学生年齢の生徒は、卒業資格については地元学区の小学校や中学校に籍を置き、東京サドベリースクールに通いながら小中学校の卒業資格を得るケースがあります。

また中学生・高校生年齢の生徒は、中学校卒業程度認定試験・高等学校卒業認定と呼ばれる試験で中卒・高卒と同程度の資格を得る生徒もおり、認定後は高等学校や大学などを受験することができます。

両試験とも受験者をふるい落とすというより、受験者の人生のチャンスを増やすための試験であるため、平均1~2年きちんと対策を行えば合格しやすい試験となっています。

例えば自分の興味のあることを見つけつつ高卒資格を取得したいのであれば、サドベリースクールに6歳で入学し、16歳までの約10年間を自分の興味を見つけたり追求するために使い、残りの2年間をサドベリースクールで試験勉強と次のステップのために準備に使うケースも、これからの子ども時代の1つの有意義な時間の使い方であると考えます。

中学校卒業程度認定試験

中学校卒業程度の学力があるかを認定するために国が行う試験であり、合格した者には高等学校の入試を受ける資格が与えられる。

満15歳までに中学を卒業できないと見込まれる者、もしくは満15歳以上から受験可。年1回実施。科目数は5教科。全国合格率平均80~95%程度。
→就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験

高等学校卒業程度認定試験

高等学校卒業程度の学力があるかを認定するために国が行う試験であり、合格した者には大学・短大・専門学校の入試を受ける資格が与えられる。また就職の際に高等学校卒業と同等に扱われ、仕事を選ぶ選択肢が広がりやすい。

16歳から受験可。年2回実施。科目数は8~10。全て一度で受験することも、一科目ごとに複数回分けて受験することも可能。一度で全て合格する率は40%程度だが、合格した科目は次回以降免除となるため16歳から複数回の受験が無理がない。そのため一科目合格率は80%程度となっている。
→高等学校卒業程度認定試験

前提としてサドベリー教育は学問教育ではないため、生徒自身のことは本人が行う必要があります。

そのため、進学のための勉強が必要であれば、自身でどうすれば進学できるのかを調べ、考え、行動する必要があります。

生徒達は自分自身を長い時間をかけて知っていきます。自分に合う学び方も、独学がいいのか、人に教えてもらう方がいいのか自分で見つけていきます。

進学という目標が見つかった際には一番やりやすい方法で学びます。自分一人で行う生徒もいれば、スタッフやボランティアスタッフに教えてほしい際は一緒に勉強することもあります。

本人が望み、もしスクールで予算が必要であれば本人がスクールに掛け合って認められれば予算が出ることもあります。その経験がサドベリー教育の本質となっています。

もし何かを詳しく学びたいときには、当校を応援してくださっている大人に連絡し交渉することもあります。専門的な学びが必要なときは「どうすればそれを学べるのか」そこから一緒に考えます。

何か必要になった時、どうすればいいのか。それこそが社会で必要な生きる力であると考えています。

本校は、市民教育と人格形成を柱とした学びを創るために通う学校ですので、基本的に毎日登校する全日制となっています。

本校所在地である、東京都世田谷区内の公立小中学校と同程度の、年間200日前後を目安に決めています。

なお生徒とスタッフの立候補者により、次年度の年間登校日を作成し、全生徒も1票を持つスクールのミーティング(学校の正式な会議)で決定しています。

自分たちの学校という社会を、自分たちで考え決めて責任を持つ主権者教育を大切にしているためです。

学校について

日本で数少ないサドベリー教育の実践校であることはもちろんですが、以下の3点が東京サドベリースクールならではの特徴となっています。

日本で唯一サドベリーバレースクールに毎年訪問している

アメリカ・ボストンのサドベリーバレースクールに日本で唯一、毎年訪問しています。サドベリーバレースクールは世界で最初であり、また世界で最も長く続くサドベリースクールです。

私たちはサドベリー教育を実践するには同校に学ぶことが大切だと考えており、大先輩かつ仲間でありサドベリー教育の源流である同校と交流を続け、最新の知見と長年の経験を学び続けています。

また今後生徒が留学したいと希望した際にスムーズに連絡を取り合えるよう信頼関係を築いています。

世界的大都市である東京にあり、生徒が様々な文化や施設にアクセスしやすい

また世界的大都市であり日本の首都東京にあることも大きな特徴の1つです。

生徒の興味が湧いた時に、世界的大都市であり、かつ日本の首都東京ならではの文化や公共施設にアクセスできるのは非常に大きな魅力です。

過去、国立博物館や世界的画家の展示を観るために美術館に行っていた生徒もいました。ユーチューバーになり著名な事務所に所属できるようになった生徒もいましたし、サドベリー教育発表のために様々な国立私立の大学に訪問しスピーチする機会をつくっていた生徒もいました。

電車であれば、様々な文化発祥の街、渋谷に10分で行けます。政治の中心国会議事堂のある永田町駅まで18分。皇居までの最寄り駅竹下橋駅まで35分。東京国立博物館や国立科学博物館などのある上野駅まで41分。東京ディズニーリゾートの舞浜駅まで57分と、都内であればほぼ全て日帰りできる距離となっています。

ユニークな人に出会いやすい

東京は”おもしろい”の宝庫です。その中でも最たるものは”おもしろい人”です。東京にはユニークな大人のみならず、ユニークな同年代の子どももたくさんいます。

人種国籍も多様ですし、自分と違う文化を許容する土壌もあります。様々なビジネスも日々生まれています。

サドベリー教育はあえて生徒に刺激を“与えない”ことで、内省・自発性・社会性が育まれやすい教育ですが、その内省によって自分の興味を発見し、自発性によって自ら行動し、社会性を持って他者にコンタクトを取っていくのもサドベリー教育の根底的な学びの1つとなっています。

人は人によって成長するという言葉があるように、人との出会いにより変わっていきます。

過去には、政治に興味を持ち国会に通い国会議員と交流をしていた生徒がいましたし、小説を書くことが大好きだった生徒が小説家に自分で書いた作品を読んでいただき、小説家の仕事を直接聞く機会を持てていました。

将来音楽の道に進みたい生徒はプロドラマーにお願いして、費用や時間など自分で工夫してドラムを教えてもらっていたりもしました。

私たちは東京サドベリースクールの校舎内だけが学びの場ではなく、東京全体が、行けるところすべてが校庭だと考えています。オンラインで会うのも素晴らしい方法ですが、直接会えるということはその方の空気感も含めて得難い経験だと考えています。

はい。これまでオープン時間を早くしたいという話し合いがなされたことがありましたが、現在は10時から16時となっています。

ただ、今後生徒から変更の要請があった場合は新たに話し合いをして決めていきます。この学校は、生きている学校です。毎日いろいろなルールが決まり、改正されていきます。

各ステップでお互いが話しあった結果、自分の事を自分でまだ責任が取れないという理由で次のステップに進まれない方もいます。

入学ステップの「一次面談」では、よりサドベリースクールについての理解を深めていただくためのご家族ごとの面談となります。その後、体験週間(Visiting Week)となります。

そこまで経験していただいた後、ご家族で「この学校が本当に行きたいのか?」についてじっくり話し合っていただきます。また学校でも受け入れができる体制なのかを入学会議(アドミッションミーティング)にて話し合い、相互の合意のうえ「最終面談」「入学手続き」へと進みます。