【新年度のご挨拶】開校15周年!そして30周年に向けて

こんにちは、東京サドベリースクールスタッフの杉山まさるです。
いつも東京サドベリースクール(TSS)にあたたかい応援、ご支援を賜り、誠にありがとうございます。


長期休みがあっても、昨日も通っていたかのように普通に登校するのもTSSの風景

4月1日から新年度が始まり、先週4月6日が初登校日でした。
生徒もいつも通り登校し、さっそくおしゃべりしたり、一緒に工作したり、公園で靴飛ばし選手権をしたり、
筋トレ愛好会の生徒とスタッフが背中の筋肉を鍛えてもいました。

また今年度スクール運営をしていくうえでの、各役割担当もそれぞれ始動していました。
もっとTSSを知ってもらいたいと、ショートムービーもつくりました。

「校舎以外も楽しもう!」と、外出メンバーはさっそくプレーパークに行く企画を立てていたり、
スクール継続と将来の発展のための活動チームもいくつかあり、支援募集チームは
「どうしたら応援していただける良い学校になれるか」を話し合ってもいます。


自分の人生は自分でつくる。自分たちの社会は自分たちでつくる。

TSSは「自分の人生は自分でつくる。自分たちの社会は自分たちでつくる」ことを学ぶ学校です。
そのため、生徒が自立して自分の興味関心のある活動を行うとともに、学校運営も行えるシステムになっています。
それは、自分たちの社会に責任と誇りを持って、行動できる人に育ってほしいから。
スタッフはそこに共感し、スクールのために働くスタッフを雇用することにも、生徒にも1票を与えているほどです。

時々、サドベリーは自分の興味を自由にできる教育だから自分勝手に育つというイメージを持たれる方がいるようで、
「サドベリーの子は自分勝手に育つ」というまとめサイトや記事を見かけます。
私はそうは思いません。
もちろん、本質的に自分に向き合えない子、向き合うタイミングでない子は、サドベリーでも難しいことがあります。
これはどの教育でも同じことです。
しかし、サドベリーは生徒・スタッフで皆のことを話し合い、実際に行動して、学校の校則づくりから学校経営までしているのですから、
むしろ自分の自由しか考えられない自分勝手な生徒は、在籍し続けるのが難しいほどです。

自分の人生は自分でつくり、自分たちの社会は自分たちでつくる。
それを子ども時代から実際に経験できるのがTSSです。

外出企画をしているチーム。全員の希望を調整し、皆が楽しめるよう気を配っていました。

開校15周年!そして30周年に向けて

さて、先週から新年度がスタートしましたが、
昨年度はたくさんの方に応援していただき、今年度も開校することができました。

昨年度は長引くコロナ禍で、いよいよ資金が少なくなり、何とか23年度もスクールを続けることに一生懸命でした。
皆様のおかげで無事開校できましたが、もちろん簡単に生徒や資産が増えることはなく、実はまだまだスクール経営は安定していません。

しかし、一昨年と大きく違うのは、昨年応援していただけたことで、自分たちがやっていることに自信が持てたことです。
そのため、今年度は引き続きスクールを続けていく活動とともに、
「未来に夢を持っていこう、発展する目標もつくろう」
「現生徒・スタッフを大切にしながら、未来の生徒・スタッフのために今できることは?」
と、皆で話し合い、次の15年計画を作成いたしました。

なぜ15年後かというと、今年度でTSSは開校15周年を迎えることができたからです!
皆様の応援ご支援のおかげです。15年間支えてくださり、本当にありがとうございます!
そして、未来の生徒のためも、次の15年後の夢を語り合い、実際に計画・実行していこうと決めたのです。

15年後というと、2037年です。
正直、15年後の未来がどうなっているのか、想像がつきませんよね。
15年程前の2007年にiPhoneが登場し、本格的にスマートフォンを使い始めた方も多いことを考えると、
AIは今のスマートフォン以上に当たり前になっているでしょう。
どんな知識やスキルで食べていくのかもわからない時代だと思います。
スクールにいる全生徒も、全員成人しているくらい先です。



人間もサドベリーも、大切なことは変わらない

でも、どのような時代や環境でも、本当に大切なことは実はあまり変わりません。
それは『自分自身を知ること』や『他者と共に生きていくこと』。
『自らの環境や社会に関心を持ち行動すること』『人生には限りがあり、したいことや必要なことをすること』
『自分にとって大事なことや人に時間を使うこと』『でも無駄と思うえることもしてみること』
だったりします。
その上に、その時代に必要な知識やスキルがある。
例えるなら大切なことは根や幹であり、知識やスキルは枝や葉、そして結果が実です。

私は教育や民主主義の源流であり、ギリシャのアテネにある、
プラトンやアリストテレスが学校を開校していた地に赴いたことがあります。
彼らの書籍が1700年もの間、今なお読まれ続けているのは、それが本質だからですね。
人間にとって大切なことは、いつの時代も当たり前のことが多いものだと思います。

TSSはどのような時代や環境になっても、生徒の「自立」「自由」「民主主義」を大切にしていきたい。
自由に自分の人生の舵を取り、他者を尊重し、共に生きていく。
そして1人ひとりが主役であり、皆で社会をつくっていく。

学校というのは教育機関なので、もともと生徒・学生に何を学んでほしいのかを定めています。
そして本来、それは暗記や学習という狭い範囲にとどまりません。
TSSもいわゆる授業がないから教育方針のない居場所ではなく、
自由に興味を見つけ自ら動き、様々な経験ができるようにしてあげたいからあえて特定のカリキュラムがないのです。
民主主義の一員としての経験ができるように、生徒にも1票があるよう設定しています。
そういうことを経験したい、学びたい子にとって、TSSはそれらをしやすい環境にしています。

本来、全ての子どもの顔や性格が違うように、1人ひとりの子が教育や学校に求めるものは違うはず。
だからこそ、社会には様々な教育や学校が必要です。
もちろん、それぞれの教育と、生徒学生の目的と相性は必ずあります。
1つの教育に合わないだけで”不登校”などというレッテルを貼る社会ではなく、
現代は全ての成人に選挙権があるように、子どもが教育を選ぶ権利が当たり前の社会にしていきたい。
15年後か100年後かわかりませんが、それは大人と子どもで一緒にやっていきたい、やっていく必要のあることです。


今と未来を大切に

前述したように、TSSは、自立・自由・民主主義を大切にし、それらを生徒が実験できるいわば実験場です。
これらを子ども時代から実際に経験ができる貴重な環境なのです。
特に、生徒がスクールで何ににでも挑戦できる自由や、自分で考え行動し、他者を尊重しながら自立していくこと。
そして生徒が社会を運営していくために、
司法・立法・行政・人事、全てに1票が与えられて経験できる学校はサドベリー以外ありません。

2023年度も、今と未来の生徒のために、より1人ひとりが主役になれる社会のために、
この貴重な環境を守り、続け、発展させていきたい。
ぜひ、今年度も皆様のお力添えをいただき、生徒が安心して通い続けられるTSSを見守っていただければ幸いです。


東京サドベリースクールスタッフ
杉山まさる


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