年度末のお礼とご報告

こんにちは、スタッフの杉山まさるです。


日頃より、東京サドベリースクールにあたたかいご支援、応援をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
この度は、年度末のお礼とご報告をさせていただきます。

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お礼のご挨拶
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あらためまして、今年度も東京サドベリースクールを応援していただき、ありがとうございました!
2009年4月に本校を開校し、13年の月日を重ねられたことは、ひとえに皆様のご支援、応援がなければできなかったことだと感じております。
本当にありがとうございます!

わたくしは本年も生徒たちの成長を一番近くで見守らせていただき、またサポートさせていただきました。
本年は開校以来最も生徒数が少なく、多様な生徒による活動は難しかったのですが、
その分生徒間でのつながりが強まり、一緒に校舎内外で活動したり、スクール運営を手分けして自分たちのコミュニティを少しでも発展させることも行っておりました。
サドベリー教育は自由に自分の人生を生み出す面と共に、市民(シチズンシップ)教育の面が特徴です。
生徒たちがスクールで、コミュニティーの一員である思いやりと責任感を学んでくれていたのであれば嬉しいことです。

また本年で13年目ですので、少しずつ本校を巣立った生徒たちが社会に出て働き出したり、進学したりもしております。
今年度はスクール在籍中に好きなことを見つけてこの4月から希望する業界に就職できたと報告をくれた同窓生や、
大学受験の勉強をしながら働き、無事合格をすることができたという同窓生からの報告ももらいました。
すべて本人の努力が実った結果で、とても嬉しく連絡を受け取らせてもらいました。

なお日本の学校では、次の進学や就職は学校が調べたり指導するという特徴がありますが、他国では進路や就職は本人が調べ準備するものという認識です。
大人の転職は、今いる会社が次の仕事の世話をするわけではないのと同じですね。
本校は、生徒に本当の地力をつけてもらいたいと考えておりますので、本人から相談やアドバイスの希望があれば行いますが、基本的に進路指導のようなものがありません。
声をかけたくなるものですが、自分で何とかする力を最大限大切にする教育方針のためです。

そのため、本校を巣立ったすべての生徒が、自分の希望する進路を歩んでいるわけではありません。
しかしながら、誰かや何かのせいにせず、自分を鑑みる力、自ら動く力、自分と他者を大切にする力を育ててきた生徒は自分の人生を自分で切り開いています。
生徒たちを近くでサポートでき、巣立った後も交流を持てるのは、スタッフとしての喜びの1つです。
今後も在籍している生徒と共に、頑張っている同窓生を応援していきたいと思っております。


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運営のご報告
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今年度は本校にとって様々な出来事がありましたが、その中でも運営面について、大きな出来事を3点ご報告いたします。

本年は2度目の校舎移転があり、また開校以来初めて消費税以外での学費の変更がありました。
そして奨学金も設立いたしました。

①校舎移転
2021年10月に、10年以上お世話になった世田谷区深沢の校舎(一軒家)から、世田谷区北烏山の校舎(一軒家)に移転いたしました。
深沢校舎の頃のオーナーとは10年間ずっと良い関係を持たせていただいておりましたが、校舎の老朽化に伴い、建て直すこととなり移転せざるを得なくなったためです。
なお、移転後もスタッフはオーナーのご自宅にお茶に呼んでいただくような関係ですので、今も良くしていただいています。
もともと、本校は2008年秋のプレオープン時から、世田谷区奥沢というエリアの一軒家の3部屋からスタートしており、今回2度目の引越しでしたが、生徒とスタッフの通学通勤と世田谷区への愛着から、世田谷区内を第一希望で探しておりました。
しかし、スクールとしてお借りできる一軒家はごく僅か。様々な条件が合わず校舎探しが難航していたところ、世田谷区内でコミュニティ活動をされている方からのご縁から新校舎が見つかり、無事移転することができました。
”自分たちの街を自分たちでより良くしよう”と、実際に活動されている方が多いのも世田谷区の魅力です。
移転して5ヵ月ですが、だんだんと生徒も校舎になじんできており、地域の公園や駄菓子屋にも足繫く通い楽しんでいます。

②学費値下げ
スクールの学費を開校以来初めて下げました。これまで消費税値上げによる、学費変更の検討は幾度もあり、その都度生徒とスタッフで協議を重ね、学校総会にて決議してまいりました。
この度は事業収入の関係で学費を変更できるため、どうするかを生徒とスタッフで話し合いました。
自分達の学費にまでも権利と責任を伴う経験ができるのが、本校の主権者教育としての強みです。
生徒たちと適正な学費について話し合いを重ね、入学希望の方についても考慮し、本年度は学費を10%下げる決断をいたしました。
また段階的に変更していくことともしております。これは自分たちのコミュニティーに必要な費用について考えることです。
自分たちのコミュニティーに必要な費用(スクールでは学費であり、社会であれば税金など)を、自分の都合だけで上げればいい、下げればいいというものでもないということを、生徒たちは学んでくれていたと思います。

③奨学金設立
東京都内でサドベリースクールを運営する際にネックになるのが資金です。
これまでお伝えさせていただいている通り、本校には公的補助などが一切ありません。
公立学校であればほぼ100%。私立の学校でも約50%ありますが、本校は0%です。
サドベリー教育は日本の教育上認められていないためなのですが、それでもスタッフの生活費や家賃は必ず必要であり、さらには都内や近隣の県の子どもたちが通いやすいよう都内で運営することも大切にしているため、どうしても他のサドベリースクールより支出がかさみます。
そのため学費がネックでサドベリー教育を諦めざるをえない親子もいらっしゃいました。なんとかしていきたいという想いから、数年前より奨学金の設立準備を進めており、この度設立することができました。学費の3分の1を返済不要の給付金としております。
こちらも、生徒とスタッフでつくったものです。これから利用してくださる方がいらっしゃれば嬉しいです。

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次年度もどうぞよろしくお願いいたします
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次年度は本校にとって、とても大切な年度となります。
コロナ禍の中、スクールを再来年度も継続して開校していくために、クラウドファンディングなども生徒と予定しております。
ぜひ皆様にご協力いただければ幸いです。


今後も共に「子どもが教育を選べる社会」をつくっていきたいと思います。
次年度もどうぞよろしくお願いいたします。


スタッフ 杉山まさる

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