【再掲載:子どもの教育と幸せについて①】12/7東京サドベリー紹介イベント記念 吉本ばなな×本田健×杉山まさる
(お知らせ)
12/7(土)【生徒・同窓生・保護者の話が聞ける】
東京サドベリー紹介イベント、開催します!
様々な立場の関係者から見た東京サドベリースクールを知り、子どもが自由に自分らしく生きていく学び・教育・育ちを人生の選択肢に増やしていこう!
登壇予定者
現生徒1名・同窓生2名・保護者2名・スタッフ1名
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【子どもの教育と幸せについて】
吉本ばななさん(以下、吉本):小説家
1964年 東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版され、海外での受賞も多数。近著に『吹上奇譚 第三話 ざしきわらし』など。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。
吉本ばなな公式twitter
どくだみちゃん と ふしばな
同窓生保護者:本校にお子さんが8年在籍されていました。
子どもの才能を伸ばす教育とは~サドベリースクールの実践~
保護者の声
本田健さん(以下、本田):作家
神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」「ライフワーク」「ワクワクする生き方」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。2014年からは、世界を舞台に講演、英語での本の執筆をスタートさせている。著書は200冊以上、累計発行部数は800万部を突破している。2019年には初の英語での書き下ろしの著作『happy money』を刊行。世界40ヵ国以上の国で発売されている。
本田健公式サイト
同窓生保護者:本校にお子さんが8年間在籍されていました。
子どもの才能を伸ばす教育とは~サドベリースクールの実践~
保護者の声
杉山まさる(以下、杉山):東京サドベリースクールスタッフ
1980年、静岡生まれ。20代前半でアメリカの本場サドベリーバレースクールを知り訪問。数年の準備期間を経て設立に至る。2009年に東京サドベリースクールを共同設立。2011年に一般財団法人化、代表理事に就任。コロナ禍以前は毎年サドべり^バレースクールを訪問し原点回帰と知見を広めてきた。ヨーロッパのサドベリースクールなども視察し、日本のみならず世界の事情を研究。また大学や企業等で自ら学びをつくる教育の講演も行っている。教育機会確保法共同発起人。現場(スクール運営)、制度(法律や制度整備)、意識(啓蒙活動)を中心に、子どもそれぞれが望む育ち方ができる社会を目指している。
杉山による教育記事
(杉山)本日は、「子どもの教育と幸せについて」というテーマで、お二人の子育て方法や、教育観など伺えればと思います。よろしくお願いします。
(吉本)よろしくお願いします。いきなりかなり本題に入ってしまうのですが、私はもう小学校4年生くらいから小学校に行くことを自分の中で放棄してしまったんですね。表向きは行っていたんですが、出なくていい時はなんとなく他の場所にいました。中学校・高校をそれで通していたのですが、その時にずっと思っていたことは、まず、受け身すぎたとは思うのですが、この時間を他のことに使えたらどんなにいいだろうと。私はもう心の中で職業が決まっているのに、なんで座っていなければいけないのかということがずっとありました。もし座っていなかったらどうなっていたか知りたいと思い、自分の子どもは時間割のない学校に入れようと思いました。
(本田)へ〜おもしろいですね。それで急に思い出したのですが、小学校3年生くらいの時に、プリントとかで答えが下の方に書いてあるものがありますよね。
(吉本)あー、逆さまになって書いてあるやつですよね。
(本田)そうです、そうです。それで、先生がよーいドンとやって、僕だけダントツ一番で出していたんですよ。それで、「なんで?」って聞かれたら、「だってこれの答えが全部ここに書いてあるから、これを全部写せばいいんだよ」って言ってたらしくて、それがすごい問題になっていたみたいで笑。
(吉本)心温まりますね笑。
(本田)それで母親が呼び出されたかなんかでね。
(吉本)へ〜!
(本田)でも今から考えれば、法則性を生み出したわけですよね。全部の答えがここに書いてあるんだったら、いちいちやるよりもこっちの方が早いと。というのを僕なりに見いだして、ある意味、得意だったんですよ。
(吉本)ある意味正しいですよね笑。
(本田)そう、でもそれが許されなかったので、「なに考えてるんだ」というのが小学校3、4年生くらいから。で、まあ高校からは自分が受けたい授業しか受けなくなったんですね。だから高校1、2年生の頃からずっと英語しかやっていなかったんですけど、同時通訳になると決めていたので、だから仕事というよりはそれをやりたかったのでそういう意味では、ばななさんとちょっと似ているなあと思いました。だから、「これおかしい!」ということに対して中退するほどのパワーはなかったんですけど、ギリギリの単位数で出られるというところまで計算して、僕は最低単位で高校を出たんですね。なのであわや落第というところだったんですけどね。でも、ばななさんが「将来この仕事でいく」というのは何歳くらいで決めたんですか?
(吉本)もう、すごく小さい時に。7歳、8歳で決めていたのです。
(本田)へ〜!それはお父さんの影響だったのですか?
(吉本)子どもなりにたぶん一生懸命考えて、姉は絵がうまい。で、私は姉と7つ歳が離れているんですけど姉のようには描けないだろうと。じゃあ文章を、と簡単にいったんですよね。それでたぶん自分は朝起きられないから、昔から夜型だったので、たぶん会社に行く、決まった時間に、決まった場所に行くのが絶対無理だろうと。
(本田)すごい早熟な小学生!笑
(吉本)たぶん真剣に考えたんですよね。だったら家でやれることをしよう、でも絵は姉の方がうまい。だったら文章だ、と簡単にいっちゃったんですね。あらゆる自己啓発の本では常識とされていますけれど、潜在意識に入ればもうそれは実現したと同じなんですよね。子どもなのでするっと入ったんだと思います。
(本田)もともと、そういうご自分で決めたことというのは実現できるタイプだったんですか?
(吉本)基本的にはそうですね。
(杉山)おもしろいですね。もともと、ご家庭でそういう教育をされていらっしゃった?
(吉本)うちはもう2人とも年寄りだったもんだから、ぜんぜんそういうのがなくって、特に父は庶民にそって生きるということがポリシーだったので、普通の公立の学校に入って、普通の公立の中学校、高校に行きなさいと。
(本田)でもたぶんそうとう苦痛だったでしょうね。
(吉本)も〜本当に苦痛だった。耐えられなかったですね。
(本田)給食とかっていうのも苦痛だったんじゃないですか?
(吉本)給食は食いしん坊だからぺろりと食べてました。
(本田)あ、給食は大丈夫笑。
(杉山)給食苦手な子とかいますものね。
(吉本)私は全然大丈夫でした笑。
(本田)じゃあ精神的な栄養は受け付けなかったわけですね。
(吉本)もう全く学校に意味はないと心から思っていました。今でもトラウマというか、セミナーとか講座に行けないんですよね。どんなに大好きな人が、どんなに楽しく話していても、学校で座っていなさいと言われることが何十年と続いたわけですから。自分にとって無駄と思いながら。授業中なるべく楽しく過ごそうと思っていろんなことやってはみたんです。もちろん小説も書きましたし。
(本田)でも今、小説は座って書いているわけですよね。それは苦痛じゃないんですか?
(吉本)あの体勢じゃなければ。
(本田・杉山)アハハハ!
(吉本)前に人がいて、自分がこうやってじっと座っていてというのがだめです。
(本田)なるほど、面白いですね〜!
(杉山)健さんは、子どもの頃はどういった教育を受けられてきたのですか?
(本田)僕は、中学からは私立に行けたので。
(吉本)裸でトイレ掃除する学校だったとか聞きましたが。
(本田)そうです、そうです。
(吉本)共通の友人から聞きました。
(本田)そうなんです。すごく変わった学校だったんですけど、神父さんがいらしてキリスト教のことを学べたりだとか、あとは英語の世界ですよね。外国人の先生がいたので、とにかく僕は早く海外に行こうと。なのでとにかく英語を勉強して、必要のないものはとにかくそぎ落として。
(吉本)やっぱりそれ大切なことですよね。
(本田)だから今もしこういうサドベリースクールみたいなものがあったら自分は英語と、それこそ本をむさぼるように読んでいたでしょうね。だから授業中もいろんな本を読んでいた覚えがありますね。
(吉本)私もいつも読んでいましたね。そして怒られてはだんだん席が前になっていきましたね。最終的に一番前になって。
(本田)アハハハ。
(杉山)先生によく見えるように笑。
(吉本)それで、作家になった時に、高校の先生にインタビューが行ったらしいんですけど、そしたら「吉本さんのことは頭の後ろしか覚えてない」と。寝てるか、何かを書いていて、まったく顔を上げなかったから顔を覚えていないという先生が何人かいらして笑。
(本田)でもやっぱり高校時代にはこの子は作家になるなと思われていたんですか?
(吉本)そうですね。多分そうだと思います。
(本田)なるほどね〜。でも本当吉本さんてそういう意味では、天才の早熟タイプですよね。
(吉本)天才ではないけれど、早熟ではありますね。
(本田)ね〜、だってそんな時から進路を決めるなんて幸せなタイプですよね。
(吉本)たぶんそこで、中退してないというところが本田さんも私も多くの方に受けいれていただいている理由だと思う。
(本田)そうかもしれませんね。そこまで極端でないという。
(吉本)そこでバーって学校辞めていっちゃう天才肌の人たち何人も知ってましたけど、みんなやっぱりどうにかなっちゃいましたね。精神のバランスをくずしたり。
(本田)あ〜そうですよね。なのでぎりぎりのところで線を越えないなんともいえない意気地のなさと、隙があるんですよね。
(吉本)それがないと多くの人は読んでくれない。
(本田)それはそうかもしれませんね。なるほどね〜。そうそう、教育にもどらなくちゃ笑。クリエイティブに人が育つ教育の条件というのは、ばななさんはどういうのがあると思います?
(吉本)私はわりと遅咲きっていうのもありと思って、待ってあげるのがいいんじゃないかと思います。
(本田)待ってあげる?
(吉本)小さい時はもうただただ遊んで。それで、あるとき急にこうなりたい、こういうことを学びたいということに自分で気づくまで待ってあげるということが、普通の学校も普通の親御さんもたぶんできないのではないかと思うのです。
(杉山)一般的にはやはり、何か与えてあげた方がいいとなりますよね。その子の内から出てくるというのをひたすら待つというのは、なかなか一般的な文化ではないですよね。
(吉本)そうですよね。やはり、自分が魂の底からイエスといったことしか人間はやらないので。やっているように見えてもやらないので。
(本田)そうですよね〜。今僕講演会でも言うんですけど、人には“モチベーションベース”と“インスピレーションベース”の生き方があるっていう話をするんですね。モチベーションベースっていうのは、「やらなくちゃ」「やろう」とやる気になる。でもそれはなかなか続かない。アップすることもあれば、ダウンすることもある。でもインスピレーションベースの生き方っていうのは、もうずっと沸き上がってくるから止まることがない。そして、そのインスピレーションにさえつながれば、人はずっとそれを続けられるんだけど、ほとんどの人たちが、残念ながら人口の99パーセントがインスピレーションベースの生き方ができない。なぜかというと、自分の中にある鉱脈みたいなものにつながれないから、だから良くてモチベーションベースの生き方、なんかいい時はいいし、悪い時は悪い。もうほとんどの人たちはモチベーションもない。
(吉本)受け身というか、完全受け身ですよね。
(本田)だからそういう意味では人口の1パーセントしかないインスピレーションベースに生きている人を、僕は今増やしたいなって思っているんですよね。でもそれってやっぱりモチベーションの人がスピーカーとなって、「あなたにも可能性がある!」って言ってもなかなか難しくて、本人の中から見つけないといけないものだから、だからそういう環境を大人向けにもつくれたらなって思っているんですけど、でも今僕のセミナーに30代、40代の人がいっぱい来るんですけどやっぱちょっと遅いんですよね。もう固まっちゃっているところがあるから。
(吉本)もう動かせない思い込みみたいなものがあるんですね。
(本田)だって、やっぱ自分は無理だと思っている人はやっぱりなかなか無理なんですよね。
だから自分は無理じゃないんだけど、その無理じゃないと思うところまで時間がかかる。でも子どもだったら全く真っ白じゃないですか。だからそういうところから、自分にとっての本当にやりたいことって何なのかっていうのを、たとえば5年とか10年とか時間があったらものすごい贅沢だなあって思うんですよね。それはやっぱりばななさんもそう思います?
(吉本)そう思います。それにあと、さすがにやっぱり私も今こうやっている間子どもが授業を受けているんだって思わないと、やっぱりちょっとモヤってするんですよ。あのモヤっている気持ちを耐えることができれば、たいていみんな何とかなっていくと思います。
(本田) なるほど。
(吉本) 子どももたぶんモヤっとしていると思いますし、親もしているんですよね。
※こちらは2012年に収録したものを書き起こしたものです。
12/7(土)【生徒・同窓生・保護者の話が聞ける】東京サドベリー紹介イベント、開催します!
様々な立場の関係者から見た東京サドベリースクールを知り、
子どもが自由に自分らしく生きていく学び・教育・育ちを人生の選択肢に増やしていこう!
登壇予定者
現生徒1名・同窓生2名・保護者2名・スタッフ1名
イベントで扱う予定の内容
◉入学した経緯や決め手は?
◉TSSで楽しかったことは?学んだことは?
◉一般的な小学校や中学校、通信制学校、デモクラティック
スクールと、東京サドベリースクールとの違いは?
◉スクールで気に入っている(いた)活動は?
◉保護者はどうして通わせたかったのか?
◉サドベリースクールにはどんな子が合う?
◉勉強や学歴についてはどう考えている?
◉皆様からのご質問へのお答え
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12/3~24【サドベリーウインタースクール】
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12月3日~12月24日までウインタースクール実施します。
自由な中で思い切り好きなことをしたり、興味のあること、好きなことを探したりできます。
また学校運営について皆で話し合うことで、自分の意見を伝え相手の話しを聞くコミュニケーション力を伸ばすこともできます。
なにより、自分自身を肯定することができるようになっていきます。
知識だけが学びではありません。
むしろ人生を支える土台を経験し、自分で自分を成長させる力こそ基礎学力というものです。
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