12/7東京サドベリー紹介イベント記念【再掲載:子どもの教育と幸せについて②】吉本ばなな×本田健×杉山まさる
(お知らせ)
12/7(土)【生徒・同窓生・保護者の話が聞ける】
東京サドベリー紹介イベント、開催します!
様々な立場の関係者から見た東京サドベリースクールを知り、子どもが自由に自分らしく生きていく学び・教育・育ちを人生の選択肢に増やしていこう!
登壇予定者
現生徒1名・同窓生2名・保護者2名・スタッフ1名
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(本田) うちの娘はアメリカにいた時、サドベリースクールに行っていたんですけど、すごい面白いことがありましてね。バレエのサマーキャンプみたいなものに行ったんですよ。そうしたら、バレエの歴史っていうのを話す時間があって先生が黒板で教えるみたいな、人生初めての授業ですよね。それが8歳くらいの時に初めて体験したんです。で、「パパつまらない」って。「どうした?」って聞いたら、「先生がひとりでしゃべっているのよ」って。「なんでみんなで話せないのか」みたいなね。先生ひとりだけしゃべっている、今までで1番つまらない時間だったって言うんですね。我々にとってみたら、先生がひとりだけしゃべるのは当たり前みたいなもの。みんなで交代にしゃべっていないということに疑問もなかったので、あの人勝手にひとりでしゃべっているっていう。よくいるじゃないですか、パーティーとかに行ってもひとりでしゃべる人。そういう風に空気が読めていない人として映ったみたいなんですね。
(杉山)ベースがないんですね。先生が教えるっていう。
(本田) そうそう、なので、あんなひとりの話を聞くだけなら行きたくないっていうことがあって。ということはやっぱり、そういう風なものっているのはあるんだなって。
(吉本)子どもにとっては当然ですよね。自分は動いていたいし、質問もいつでもしたいし。
(本田)そうそう。ひとりが一方的に話すつまらなさっているのは、それを聞いて初めて「たしかにそうだな」って思ったことがありましたね笑。
(杉山)サドベリーは自分がそこに入って発言ができますものね。一般的な授業ですと先生がずっとしゃべっていて自分があまり発言できないですよね。当事者として関われていないという感覚が、もしかしたらあったかもしれないですね。
(吉本)質問受付も形だけですからね。「質問あるものいるか?なければ終わり」みたいな。だから、しちゃうと長くなっちゃうから言えないというのもありますよね。
(本田)昔そういえば小さい時、僕は質問が大好きで、もうお前は質問を2回までにしろって言われて笑。というのを思い出しました笑。「なぜ?なぜ?」ばかり聞いていたんですよ。
(吉本)でも質問するってとても大切なことですよね。
(本田)それでしまいには嫌がられて、母親に「この子に質問をさせないようにお願いします」って。ちゃんと答えてくれるまで、僕絶対手を下ろさなかったんですよね。本当に変わった子どもだったんですよね。でも考えたら無駄な努力だったなって笑。今から思えばですよ。
(吉本)まだちょっと信じてたんですね。大人というものを。
(本田)そうそう。でも今、本当にそういう学校があったらやり直したいですよね。でもまあ考えてみれば、いろんな人生のモチベーションってあって、すごく不自由だったから自由になるっていうこともあるじゃないですか。
(吉本)そうですね。そこはまだモヤってしますね、わたし。
(本田)だからそれが自分にとってはそういうのがあったから、なんか今の自由が手に入った感じもするんですよ。
(杉山)そう考えると比べる対象がありますよね。
(本田)そうそう。だから人生のある一定期間不自由になるのもそんなに悪くないかなって気がしないでもないですけど、でももし本当にそういうフリーハンドでそういう自由な環境が与えられるとしたら、やっぱり大人も3年間とか全く何もしない時間があってもいいなあって思うんですよね。
(吉本)そうですよね。
(本田)僕は育児で4年間全く仕事をしなかった時間があったんですね。4年間全く育児セミリタイヤで、そのあと人生で何をするのかっていうことをじっくり考えて、それで本を書きだすっていうことをやったんですけど、この4年間全く何もしてこなかったっていう時間が、すごく退屈のプールにつけ込まれたような状態で、初めてこれがやりたいってわかってから動き出したんですよね。それはすごくラッキーでしたけど、でも小説家という立場で、ばななさんもそういうところないですか?ご自分の本当の興味があるまで書き出さないわけですよね。
(吉本)そうですね。失敗しちゃいますね、その前に書いちゃうと。熟してないんです。
(本田)あ〜なるほどね。
(吉本)義務感とか。たぶんさっきから私が言っていることっていうのは、保険をかけないって、リスクをとるっていうことだと思うんです。基本的に同じことだと思うんですけど。たとえば、少し書いてあれば、気持ち的に不安は少し軽くなりますよね。つまらないことでも書いてあれば、何かやったなって思うけれども、本当にバーンと来た時に、バーンと書くのを待っているっていうあのちょっと怖い時間。「来なかったらどうするんだ?」みたいなことも思ったり。その時間がやっぱり大切だと思いますね。はっきりしない時間っていうか。来ると思っているんだけど、待っているのはちょっとなぁと。あてはめれば教育も、全く同じだと思います。たぶん今なにか勉強しているだろう、塾行っているだろう、学校行っているだろうって思えば、親も本人も安心をちょっと買っている感じになるけど、たぶんそれは違うんですよね。ただ、嫌な思いはした方がいいと思います、やっぱり。人の話聞いて、何のためになるんだろうみたいな。短期間でもなんでもね。ただそれはあとで自分で選んで塾に行ったり、それこそセミナーに行ったりして学べばいいと思うので、そのとき初めて知りなよと今子どもに対して思っています。
(杉山)おそらくサドベリーって、すごく自由な学校ってイメージがあると思います。そういうお話もさせて頂いているんですけど、でも自由ばかりじゃないんです。自由な中でもやらなきゃいけないこと。みんなで決めた掃除のルールというのがあるんですけど、多くの生徒にとって掃除って面白くないことなのですが、でもみんなで決めたからそこは絶対にやらないといけないとか。なので、みんな一生懸命やるんですよね。それがおもしろいなぁと思っています。もちろん嫌だなと思いながらやっている子もいるんですけど笑。でもサドベリーだからといって何でも自由に好き勝手できるかというと、実はそうではない。
(本田)たぶん、仕事でもそうじゃないですか。好きに小説書けばいいってわけでもないし、ある程度の字数とか時間とか。
(吉本)約束とかもありますしね。
(本田)その制限の中でやるわけですもんね。
(吉本)そういうことはやっぱりね、みんなとの間で学ぶことは大切だと思います。そういうのはなんでもかんでも自由にしていいなとは思わないです。あと、誰かが話している時は聞くとか、そういうのを自然に学べるのはいいですよね。無理に、さぁ座って、はい今から先生が出てきます、算数をやります、黙ってくださいじゃなくて、誰かが話している時は耳を傾ける、そうでないとその子に悪いからというようなことに気づいたと、うちの子どももよく実感して言っているんですけれども。
(本田)礼儀みたいなものですよね。
(吉本)それは自然に学ぶのが1番なので。
(本田)確かにね。そういう意味では、トイレに行っちゃいけないとか、この時間はここにいなさいとか制限がない方が、ストレスは少ないですよね。
(吉本)そうですねぇ。そのストレスが将来生きてくればいいんですけれども。
(本田) 確かに笑。
(吉本)あとはまぁ、大基本ですけれどもたぶん義務教育の制度ができたのは、家で仕事をやってて、学校に行けない子どもに読み書きを習わせるためだったと思うんです、そもそもは。
たぶんその時期はすごくいい制度だったと思うんですよ。親がなんと言っても行けるという。
(本田)今の第3世界がちょっと似ていますね。だからある意味子どもを保護するような。
(吉本)そうです、親に手伝わされるとか、そういうことから子どもを守るためにはじめはよく機能していた。
(本田)でもインターネット時代に入ってうちの娘が「学校でどういうことやるの?」と聞くから、「“いいくに(1192年)つくろう鎌倉幕府”っていうのを、こう線のところに『1192』って入れればいいんだよ」って言ったんですね。そうしたら「スマホさえあれば楽勝だ」って言うわけですよ。で、「スマホ持ち込みだめなんだ」って言ったら、「それだったらきびしい」って言ってたんですけど笑。
(吉本)フフフ。
(本田)考えたらグーグルで調べられるようなことを、テストする意味があまりないかな。
(吉本)そうですね。でもそれはやっぱり会社に行くためですよ、基本的に。やっぱ社員にとってはそれがいいですよ、だって社長にとってそういう社員の方がいいもん。座っててくれるし、話聞いてくれるし、この時間はこれやっててって言えるし。
(本田)そうですよね。僕の小さい頃は、「なんでですか?なんでですか?」ばかり言って先生を困らせていたんですけど、そんなやつ困りますよね。
(吉本)困ります。そうしたら辞めてもらいたいことになっちゃいますもん。あと逆に言ったらそういう人はすぐ独立するから会社もあまりお金をかけて育てる意味がないっていう気持ちになっちゃいますよね。だからサドベリーって自立したい人にとってはいいと思うんですけれども、とにかく受け身の人にとってはそんなに選ばない方がいい学校かもともやっぱり思います笑。
(本田)アハハ。この部分はどうしますかね?笑
(杉山)いいと思いますよ笑
(吉本)だけれどもたとえば自分はお勤めをしてきて、両親共にこういうところがよくなかった、楽しくなかった、だから子どもにはこうしたいという方はもちろん入れてみるといいと思う。そうしたら親も学べますから。
(本田)アメリカのサドベリースクールに娘が通っていた時に、両親でみんな集まったことがあったんですけど、この学校は危険だと。子どもが親に色々な突っ込みを入れてくると。「パパ達は幸せに仕事してるの?」とか聞かれるそうなんですね。だから、あまり自分の人生に質問されたくなかったら、絶対入れちゃだめだっていう話をしていましたね。それはすごくおもしろいなと思いましたね。
(杉山)おもしろいですね。それはスタッフもよく質問されるんですね。「スタッフも自分のやりたいことやっているの?」って生徒に聞かれるんですよね、不意に笑。そこで私は「サドベリー好きだから、サドベリーのスタッフをやっているよ。」って。「あと色々なことに興味あって、たとえば教育の法律を作ることにすごく興味があるからそういう活動もしているし、パントマイムも好きだから見に行ったりもするよ。すごく楽しいよね。」という話をすると「そうなんだ〜」って。
(吉本)楽しさを見て刺激されるのはとても大切なことだと思います。
(杉山)それは周りにいるスタッフもそうですし、保護者の方もそうですし、周りにいる大人の生き方が見えることが子どもにとっての勉強になるんじゃないかなって思いますね。
(吉本)そうですね。本田さんは少しでも公立の学校に入れようと思ったことはないんですか?お嬢さんを。
(本田)1回もないですね。
(吉本)1回もないですか!その迷いのなさって素晴らしいですね。
(本田)いや、というか選択肢がなかったので笑。だから、最初からそういう自由というか、外れといた方がおもしろいじゃないですか、将来何やるにしても。自分のネタとしても、「私ちゃんとした学校行ったことがないんです」というのもおもしろいし、そういうのをプラスにして生きていくことができたら、それってすごく素敵だなぁって思って。だから最初からそういうのはない方がおもしろいかなって。自分も1回も就職したことがないんですね。
(吉本)就職したことがないってすごいですね!
(本田)それでなんとかやってこれたので、学校に1回も行ったことがなくても、生きていけるのがいいんじゃないかなぁって笑。それで僕はお金とかビジネスのことを教えてあげるから。
(吉本)いいな〜。いいな~そのパパ笑。
(本田)少なくとも自分で自活することさえ身につければ、あとは人に応援され愛されてやっていけばいいんじゃないかと思うので。
(吉本)私はすごく悩んだので。自分が公立に行ってきただけに。だいたい社会の縮図というか、公立の学校にある意味その後の人生の課題が全てが入っていたので。そのことを思うと迷ったんですけれども、でもやっぱり何になってもゆっくり決めてほしいという気持ちが1番勝ちました。あと急かされないでほしいという。また、学校で簡単に「いい子だね」とか「算数できるね」とか色をつけてほしくないという気持ちがあったんですよね。
(本田)ほんと、そうですよね。
(杉山)私はサドベリーのスタッフをやっていて、公立私立の一般的な学校も通ってきて、サドベリーはすごく社会の縮図だと思うんですよね。自分で考えて、自分で行動を起こして、何かをやりたければ周りを巻き込んでやっていく。学校という社会のルールを自分達で作っていくとか、あとスタッフを雇うのも生徒にも1票があるんですよね。選挙みたいなものがあるので、そういうのも含めて権利や責任、自由を子ども達は身につけているんじゃないかなとすごく思いますね。
(吉本)さっき私の言った意味での社会の縮図はもっと悪い意味での社会の縮図という意味で、だいたいどういう顔の人に自分は嫌われるかとか、どういう考え方の人と自分は折り合わないかとか。
(本田)あ〜たしかにね。
(吉本)そういう意味では、マイナスの意味を公立で学びましたので。あと、お金の扱いとか、出る杭は打たれるとか。そういうことか、こういうことかというのはネガティブな意味で学びました。
(本田)僕も給食代を盗られたことがあって、僕らの住んでいたエリアがお金持ちのエリアで。で、施設の子とかもいたんですよね。それでその子が盗っちゃってたんですけど、そういうのってなかなか公立じゃないとね。
(吉本)そう、そういうのを見たのはよかったと思っていますけれども。
(本田)でも大人になっても見れますからね笑。
(吉本)そうなんですよね笑。大人になってゆっくり出会ってほしいなと思って。
(杉山)あっという間にお時間となってしまいました。名残惜しいですが、こちらでお開きとさせていただきます。本日は、吉本ばななさんと本田健さんにお話を伺いました。ありがとうございました!
(吉本)ありがとうございました!
(本田)ありがとうございました!
<終>
※こちらは2012年に収録したものを書き起こしたものです。
12/7(土)【生徒・同窓生・保護者の話が聞ける】東京サドベリー紹介イベント、開催します!
様々な立場の関係者から見た東京サドベリースクールを知り、
子どもが自由に自分らしく生きていく学び・教育・育ちを人生の選択肢に増やしていこう!
登壇予定者
現生徒1名・同窓生2名・保護者2名・スタッフ1名
イベントで扱う予定の内容
◉入学した経緯や決め手は?
◉TSSで楽しかったことは?学んだことは?
◉一般的な小学校や中学校、通信制学校、デモクラティック
スクールと、東京サドベリースクールとの違いは?
◉スクールで気に入っている(いた)活動は?
◉保護者はどうして通わせたかったのか?
◉サドベリースクールにはどんな子が合う?
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12/3~24【サドベリーウインタースクール】
自由と社会性の教育、サドベリースクールを1日から体験してみませんか?
12月3日~12月24日までウインタースクール実施します。
自由な中で思い切り好きなことをしたり、興味のあること、好きなことを探したりできます。
また学校運営について皆で話し合うことで、自分の意見を伝え相手の話しを聞くコミュニケーション力を伸ばすこともできます。
なにより、自分自身を肯定することができるようになっていきます。
知識だけが学びではありません。
むしろ人生を支える土台を経験し、自分で自分を成長させる力こそ基礎学力というものです。
サドベリーで自分の人生をつくってみませんか?
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