【スタッフ教育コラム】自立できない大人は、いつ育まれるのか

「何をしたらいいですか?」
学校体験にきたばかりの10歳の子が、スタッフにそう聞いてきたことがありました。聞くとこれまで何をするかを全て大人に決めてもらってきた。家庭でもその日やること、そして学校でも時間割も勉強の内容もずっと誰かに決めてもらってきた。「自分で選ぶ」という経験が、ほとんどなかった子です。

社会では今、指示待ちの大人や、自己肯定感の低さによるメンタル不調、キャリアの迷走が深刻化しています。これは個人の問題ではなく、「与えられたことをこなす」という環境構造が生み出す、社会全体の課題です。


空白の時間が、自分を育てる
東京サドベリースクール(TSS)には、時間割もカリキュラムもありません。何をするかは、すべて生徒自身が決めます。

特に真面目でいい子をしてきた子は、何をしてよいかわからず最初は戸惑います。しばらくぼんやりと過ごしたりもいます。
でも、その”何もない”時間こそが、実はとても大切です。誰にも埋めてもらえない空白の中で、子どもは初めて「自分は本当に何がしたいのか」と向き合うようになります。

そういう子も1年後にはスタッフのところへやってきて「〇〇をしたい」と話しかけてきたりします。この〇〇は生徒により千差万別。料理、映画、映像などさまざま。
誰に言われたわけでもなく。その目は、入学当初とはまるで違ってきます。


多年齢が、一緒に社会をつくります
TSSでは、様々な生徒たちが年齢を超えて同じ場所で過ごします。意見が違えば話し合いで解決し、尊敬と尊重を持っていきます。学校の運営に関わる決定にも、生徒全員が1票を持って参加します。

これはいわば「社会の縮図」です。対話する力、自分の考えを言葉にする力、そして「自分がここをつくっている」という実感、そして責任を持つ。それらが、日常の中で育まれていきます。

自立できない大人を生まないためには、子ども時代に「自分で決める」「その責任を持つ」という経験の圧倒的な質と量が必要です。

TSSは2009年の開校以来、その確かな場を、静かにじっくり守り続けています。

(スタッフ 杉山)


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<開催日>月1休日毎週火曜
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