【スタッフ教育コラム】TSSが実践民主主義にこだわる理由-子どもたちが大人になる社会を、子どもたち自身がつくれるように-
東京サドベリースクール(TSS)が、民主主義を教育の中心に据えることは、現代社会において3つの意義があると考えられます。
まず、民主主義についてですが、民主主義は1つの統治形態です。世の中にも、歴史上でも、これまで様々な統治形態がありました。
1人の支配者が唯一の主権者である専制主義、少数が政治や要職を独占する権威主義とともに、民が自分たちの社会をつくり維持し責任を取る民主主義は古代より存在してきました。
TSSはそれらの中で、民主主義を重視しています。
とりわけ生徒が“民主主義”を“経験”すること、そのために実際に学校というものすべてに生徒にもあらゆる1票の権利が与えられています。
ここまで民主主義を徹底しているのは、子どもたちが将来、自分たちのことは自分たちで考えていくこと、そしてその結果に責任を持つことを放棄しないためです。
しかし、民主主義は制度だけでは維持できません。
民が主役の民主主義では、その1人ひとりが社会をつくっていく努力をする必要があります。
「そんなめんどくさいこと、、」
「そこまで手がまわらないよ」
「誰かに任せればいいんじゃないの」
というお声もあるかもしれません。しかし
「自分も社会をつくっている一員だ」
という責任感。
そして自分にできる範囲ででも行動する市民によってこそ、民主主義社会は維持されます。
その意識と行動と責任が無くなった時、民主主義は形がい化してしまうのです。
形がい化した民主主義では、民主主義の制度をつかって1人の独裁者が支配する専制を生み出したり、容易に操られたりしてしまいます。
また民衆は自分たちの責任を簡単に他人のせいにしてしまう。他人のせいにしていれば楽ですが、
その行く末が対話や共存ではなく、攻撃や排他となってしまってはいけません。
そのため、実際に「子どもたち」が「民主主義」を「経験」するTSSは、紛争や排他、無関心、
そして民主主義国家が半数以下となっている現代にこそ大切な学校だと考えています。

1.「指示待ち」や「他責」ではなく、自ら考え行動する人が育つ
現代は、生き方や働き方など、様々なことで正解が1つではない時代です。
AIの発展、社会情勢の変化、価値観の多様化により、「言われた通りに動く」ことはAIや機械で代替できていきます。
民主主義的な環境では、子どもたちは日常的に、
・自分の意見を持つ
・他者の意見を聞く
・合意形成を行う
・ 自分で決め、その結果を引き受ける
という経験を積み重ねます。
これは単なる「学校運営への参加」ではなく、人生と社会そのものを主体的に生きる練習でもあります。
2.多様な人と共に生きる力が育つ
現代社会では、多様性への対応が避けられません。
年齢、価値観、特性、文化、学び方、生き方が異なる人たちと、どう共に生きるかが重要になっています。
時には民主主義者ではない人とも共存する道を探る必要もあります。
そのため民主主義は「多数決で決めること」のみではありませんし、「皆同じになること」でもありません。
・違いがあることを前提にする
・少数意見も尊重する
・対話によって折り合いを探す
といった文化でもあります。
そのため、民主主義を日常として経験する子どもたちは、単なる協調性ではなく、「違いの中で関係を築く力」を身につけていきます。
これは、教育選択、多様な特性、生き方の尊重、異なる考えや文化など、現代社会のさまざまな課題に対しても重要な土台になります。

3.民主主義社会そのものを支える市民が育つ
現在、世界的に見ても、
・分断
・排他的な言説
・他者への攻撃
・権威主義化
・無関心や諦め
などが広がっています。
しかも、多くの子どもたちは、
「ルールは上から与えられるもの」
「決めるのは大人」
という環境で育っています。
その中で、民主主義を実際に『経験できる』TSSは、
・話し合いで決める経験を膨大に積める
・権力の影響と怖さを経験できる機会がある
・1人ひとりに全ての学校運営の議決権がある
・少数者も大切にする制度と文化をつくってきた
という体験を通じて、民主主義を“知識”ではなく“経験”として学ぶ場になります。
つまり、民主主義に特化したTSSは、単なる既存の学校に替わる新しい自由な学校ではなく、
「未来の民主主義社会の土台を育てる場」
という社会的意義を担っているといえます。
子どもたちには、共に社会をつくっていく力を育ててほしいと思いますし、
大人の皆様とはもぜひご一緒に、より良い自由で民主的な社会をつくっていきたいと願っています。
(スタッフ 杉山)
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