【スタッフ教育コラム】子どもに合う学校を探す前に知っておきたい3つの視点
ある子にとってのよい学校が、他の子にとってのよい学校ではないことは、前回お伝えしました。では実際に、子ども一人ひとりに合う学校を探すには、どのようにしたらいいのでしょう。
今回は、子どもに合う学校を探す前に知っておきたい、3つの視点をお伝えします。
この3点を確認していただくことで、より有意義な学校探し、教育や育ち方探しができると考えています。
視点1 学校は家庭でできない学びを得に行くところ
視点2 与えてもらう姿勢ではなく、自分から学ぶ姿勢が必要
視点3 学校に合わないこともある
視点1 学校は家庭でできない学びを得に行くところ
子どもの教育の第一義的責任という言葉があります。子どもの教育の一番の責任者は父母または保護者にあるという考え方で、これは法律(※)にもなっています(アドラー心理学やサドベリー教育的には子ども自身の教育の責任者は子ども本人ですが)。
しかし、全ての教育を家庭できるかというとそれは無理がありますね。挨拶やマナー、生活習慣、保護者や家族の方の専門領域については教えることができても、他の分野のすべてを教えたりはできないと思います。例えばバレエダンサーの親は子どもにバレエを教えられるかもしれませんが、高校の数学は教えられないかもしれません。逆に高校の数学教師もバレエを教えられるかというと、そのような方は非常に少ないのではないでしょうか。
このように、数えきれないほどの分野が世界にはあるので、全ての親や家族がそれらを教えられるわけではありません。
そこで子どもにとっては家庭から一歩出た外の世界、学校やスクール、教室などの出番となります。
つまり子どもは、家ではできないことで、育ちたい育ち方ができるところや、学びたいことを習得しに学校などに通うのが自然なのです。
ですからまずは、子ども自身が何を学びたいのか、そこに通うことで何を得たいのかを考えてみてほしいと思います。そしてそこに行くには自分にそれだけの力があるのか、なければどのように行動する必要があるのか考えてみましょう。親御さんもぜひよくお子さんと話していただければと思います。これは5歳でも15歳であっても大切なことです。
(※)教育基本法第10条
父母その他の保護者は,子の教育について第一義的責任を有するものであって,生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに,自立心を育成し,心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
視点2 与えてもらう姿勢ではなく、自分から学ぶ姿勢が必要
視点1でお伝えした通り、学校は家庭でできないけれど学びたい何かを学びに行くところであり、その内容の違いが「バレエ」であったり「数学」であったりします。
私は、本当に知りたいことがあったり、学びたい、こういう環境で育ちたいという気持ちから、学校や教育を選ぶことが大切だと考えています。だからこそ、人は積極的に学び吸収することができる。日本では昔から「好きこそものの上手なれ」といいますね。私はよく「興味・関心・好奇心」といいます。「興味があるもの」「関心が高いこと」「もっと知りたいやってみたいと思うもの」です。人は自分の興味や関心、好奇心が向くことに一生懸命になれるものなのです。そしてそれらが積み重なっていくとその活動の中から「好きなこと」が生まれやすいですし、好きになったらもっと興味や関心が広がっていくものです。
そしてどの教育であっても当たり前のことなのですが、たとえそれが教え授かる一般的な“教授法”と呼ばれる手法の学校だとしても、与えてもらう受け身ではなく、自ら学びを得ようとする姿勢と行動が必要です。
しかし私たちにとって一般的に学校は、教えられるところ、与えてもらうところというイメージになりやすいですよね。それは6歳になったから自動的に、何の疑問も持たずにいわゆる小学校に入学するため起こりやすい。本人が自覚せずにその教育の学校に通いだすので「何で勉強しないといけないの?」「お兄ちゃんは今日学校休んでずるい」といった発言が子ども自身から湧き上がってくるのです。
本来学校は、自分がその教育内容を学びたくて通うもの。であれば、上記のような言葉は出づらいはずなのです。
そして自ら通い出したのであれば、たとえそれが教授法であっても、ただ与えられるのではなく自ら動きだしてしまうものです。それは予習してくる、熱心に内容を聴く、積極的に質問する、復習する、自分で応用するといった具合に。
たとえば、子どもに人気のあるマインクラフトという、世界で一番売れているゲームがありますが、これは長年ずっと売上1位だったテトリスを抜いた程の大人気ゲームです。もし子どもがこのマインクラフトが大好きだったとしましょう。そして、マインクラフトの学校や教室があったとします。そこではマインクラフトについて色々教えてくれます。子どもは熱心に授業を聞き、自分でも積極的に調べるでしょうし、わからないことは自ら先生に質問するのは目に見えています。そして数百あるアイテムも自然と覚えていきます。語呂合わせなど頑張って暗記するのではなく。これが自然な学びや成長の姿だと考えています。
何度もお伝えしているように、本来学校に通うということは、本人が知りたい、学びたい、必要だと思って通うものですが、それは今の社会では実は大人の方が実践できています。
自分の仕事の分野をより極めたくて大学院に入学する大人。趣味の書道を上達させたくて書道教室で練習に励む大人。将来海外で働きたくてオンラインで語学レッスンを受けている大人もいますね。
これらの大人は与えてもらうのではなく、自ら学びを生み出していますが、しかし本来は大人子どもに関係ないものなのです。人間にとって、学びは自ら生み出すものですから、子どもも学校に通うということは、与えてもらう姿勢ではなく、その学校でその教育を自ら学ぶんだという気持ちと行動が必要なのです。
であれば、やはり自分の関心が高い教育内容の学校に行くのが一番合っていやすいということになります。では自分が行きたいと思える学校や教育を探すにはどのようにすればよいのでしょうか。それは『3.子どもに合う学校を見つけるための4つのステップ』でお伝えします。
視点3 学校に合わないこともある
自分ひとりや家庭でできない学びを得たく、また自ら学ぶ気持ちや行動が伴って入学しても、その学校が合わなくなることはあります。
それは「学びが終わった」のか「得たい学びとのずれがでてきた」か、または「学びの内容以外での合わない点がある」などとなります。
「学びが終わった」
そのカリキュラムや履修内容を終えて卒業する。またはそこに通ったことで学びたいことや、もっと追及したいレベルや分野が出てきたときのように十分学び終えたときは自然とわかります。その時は「通ってよかったな」という充実感を伴って巣立っていけるでしょう。
「得たい学びとのずれがでてきた」
もともと得たい学びがあったが、自身の心境の変化がありずれが出てきたときは、その環境で何ができるかを一度見直す必要があります。先生に相談したりして今の状況でできることを探してみましょう。どうしてもずれが大きければ、他の選択肢を考えることも必要となってきます。
「学びの内容以外での合わない点がある」
学校や教育機関はその学校の提供している学び以外にも様々な面があります。例えば教育内容は良いが、人間である以上どうしても人間関係の相性が出てきます。その1つとしては教育者との相性があるでしょう。生徒学生間でもあります。また通学時間の長短(長いこと以外にも、近すぎても難しいこともあります)、地域の雰囲気との相性もあります。そもそも、学校という形態が合わないかもしれません。自分自身を変えることも含めて、現状で変えられることを探ってみましょう。その時は他者を責めたくなりますが、自分自身の為にも相手の為にもやめましょう。どうしても難しければ、何かを大きく変える必要もあることを考えておく必要があります。そのようなリスクを事前に考えたり、調べておくことは実際に事が起こった際に慌てずにすみます。仕事では代替案を考えるものですが、意外と子どもも進路では見落としがちです。
以上、子どもに合う学校を探す前に知っておきたい3つの視点でした。
具体的に探す前に知っておいたり、考えおくだけで後がずっと楽になることは多いものです。ぜひ参考にしてみてください。
杉山まさる