【スタッフ教育コラム】学校に合わなくなることもある

子どもに合う学校を探す前に知っておきたい3つの視点でも、学校に合わなくなることもあるという視点をご紹介しましたが、現在悩んでいらっしゃる方も多いと思いますので、追加でコラムを書きました。参考になれば幸いです。

最初にお伝えしたいことは、子どもが学校に合わなくなることは当たり前に起こりうるということです。これは学校、教育、育ち方全てにあてはまります。今回は主に学校についてお話しします。

それは大きく3つのパターンで現れます。

1つ目は、もっとしたいことがあり、その専門的な道に進みたくなったときです。

大人でいえば、「今の会社ではできないけれど、あの仕事にチャレンジしてみたい!」「こういうことで起業してみたい!」と思うようなときになります。

子どもの場合はスポーツや芸能、情報系に多いのですが、求める活動を優先したくて通学自体ができなかったり、もっとその道を追求したいが今通っている学校の教育内容と合っていないということがあります。その際には、教育内容は同じだけど、通学制ではなく通信制にしたり、その活動を応援してもらいやすい学校に転校するなどありえます。

なおそのときにしてしまいがちなのですが、もともとの教育を批判する必要はありません。それはラーメンを提供するお店にお寿司を求めるようなものだからです。今までラーメンを提供してくれたことに感謝して、今度は寿司屋を探せばいい。東京サドベリースクールの生徒でも、アメフトをもっと本格的にやりたいとアメリカに転校した生徒がいましたが、帰国後も時々会って楽しい時間を過ごしています。もちろんそのまま今の学校を卒業することもあるでしょう。

なおこの1つ目のケースは、子どもの気持ちと、親の気持ちのすれ違いが生まれやすいときでもあります。

今すぐその専門的な道に進みたい子どもの気持ちと「せめて何歳までは学校に通ってほしい」「高校までは卒業してはどうか」といった親御さんとの気持ちとの間に、意見の違いが生まれやすい。それは、子ども自身が無理なく学校に通っているため(親御さんにはそう見えるため)、次の2つ目や3つ目に比べて「なんでわざわざ?」と親御さんが思いやすいためでもあります。

もちろん子どもはまだ未成年で親の責任下という面で、全て子どものいう通りにしなければいけないわけではありません。でも同時に、子も親もそれぞれの人格を持った人間同士ですから、ぜひお互いにじっくり話し合っていただきたいところです。そのときのポイントは自分の意見を押し付けたり、また被害者意識にならないこと。そして感情的にならないように気を付けてください。お互い話し合う前に確認してもいいですね。

2つ目は、1つ目のような積極的な理由があるわけではないけれど、「なんとなく学校が合っていない」といったマイルドな違和感があるというものです。それは大人が「良いと思ってこの会社で働きだしたし、すごく不満があるわけではないけれど、なにかが足りない」と思うことと似ています。

同じように、子どもも様々な学校に見学や体験に行き、「ここがいい!」と決めたとしても、実際通ってみて「なんか違う」と思うことは起こりえます。

私は自身の経験と、様々な教育実践者と意見を交換してきた経験から、子どもが本当にその学校や教育に合っているかどうかは、1対13対1の割合があると考えています。本当にその学校や教育に合う子はおよそ15人中1人であり、本当に合わない子、続けることが難しいほどの子も15人中1人といった割合です。あとの13人は、比較的合っている子から比較的合っていない子にグラデーションのように分かれていきます。でも、通えない程ではない、他の選択肢を考えたこともないという理由でそのまま通っていたりします。

もちろん一概にこの割合ではありませんし、特に自己管理が必要な教育方法や、本当は教育の前にケアが必要な子が多いほど、割合的に変わってきます。割合自体に良い悪いもないのですが、実際には「行きたいから行く」のと「行けるから行く」のでは大きな違いがあります。

またその教育をこなしていける力が入学時でどこまであるのかでも大きな違いが出てきます。ただ、その学校に通いたいから通い、その教育や学校にとても合っている子は、生き生きしやすく、また精神も安定しやすいものです。そしてその教育の学びを得やすく、結果(成長や成績)がよいケースも多いもの。それは逆もしかりです。

であるなら、貴重な子ども時代の時間を、できるだけその子に合った道で歩めるといいですよね。その過程で迷うことも多いと思いますが、人生を信頼していければ、きっと道は続いていきます。大丈夫。

次回は、3つ目の「これが嫌だ!」という怒りや悲しみがある、というお話です。

その内容は多岐に渡ります。

教科の勉強かもしれませんし、先生との相性。友人関係かもしれません。登下校中に何か気になることがあり行けなくなっているのかもしれません。その際には怒りや悲しみの感情が出てきやすいものです。

まずは一旦、自分自身を守ることを大切にしてください。日本では同調圧力が強いので、そこから外れたら生きていけないと思うかもしれません。でも意外とそのコミュニティー以外でも生きていけます。ですので無理はしないでください。

怒りや、悲しみから誰かや何かのせいにしたくなることも多いと思います。学校であれば親子で先生を攻撃してしまうこともあるでしょう。先生のせいにすれば団結しやすいからですが、本当にそこに問題があるかはよく見てください。先生が悪いのではなく、相性が悪いのかもしれませんし、本当は親と子の間で何か解決すべきことがあるのかもしれません。もちろん先生に何か問題がある場合もあるのでよく見て頂きたいのですが、そうでなければ心配を攻撃という手段に取ってしまいがちですので、一緒に解決するというスタンスになってみてください。

またどうしても今の学校で難しければ転校するという手段もあります。ただ転校して学校や人が変わっても何か問題が起きるのであれば、対象者ではなく自分に何かあるのかもしれません。

学校に合わず学校を変えることはできますが、親子関係を解消することはハードルが非常に高いですし、自分自身とはずっと生きていかなければならないので、怒りや悲しみが出てきたら1つのサインだと冷静に考えていただき、その奥にあるものを内省して頂ければと思います。

これが嫌だ!と怒りや悲しみが出てくるというのは、本人にとってよほど何か心の琴線に触れるもので、大事だとかんがえていることも多いからです。その際はぜひ大事にしていることを、大事にできる学校に行くべき時が来たと考えるのもいいと思います。

杉山まさる

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