怒りや悲しみ
Qいい学校ってどんな学校?
A子どもに合うところがいい学校です
よく、「うちの子に合ういい学校って、どうやって見つければいいですか?」というご質問をいただきます。そこで『子どもに合う学校・教育・育ち方を見つけ、選ぶ方法』のちょっとしたコツをお伝えしています。ぜひお役立ていただき、お子さんに合った 学校・教育・育ち方を見つけていただきたいと思います。なにより、こちらの記事を読んでくれている10代の方や年齢が一桁の方には、ぜひ自分に合った環境を探していただければと思います。
※一連の記事では「学校」をメインに扱っていますが、こちらは一般的な学校のみではなく、様々な教育の学校やスクールも対象にしています。また学校形式以外の学び方・育ち方もあります。
視点1 学校は家庭でできない学びを得に行くところ
視点2 与えてもらう姿勢ではなく、自分から学ぶ姿勢が必要
1つ目:「もっとこれをしたい!」と専門的な道に進みたくなった
2つ目:「なんとなく学校が合っていない」といったマイルドな違和感がある
3つ目:「これが嫌だ!」という怒りや悲しみがある(☜今回はこちらから)
3:子どもに合う学校を見つけるための4つのステップ
~今回の本文はここから~
3つ目は「これが嫌だ!」という怒りや悲しみがあるというものです。これは大人でいえば「この会社は合わない!」「あの人のせいで自分は報われない!」と強く思うことと似ています。子どもの場合、友達や先生といった人間関係のもつれや、学びたい内容とのズレなどで起こることがあります。
ただ、根底にもっと違う原因があることもあります。両親や先生、友達や社会状況が原因のようでも、これらを1つのきっかけとして、本人の中にある課題が浮き彫りになるケースです。それが自分の中で消化しきれないと、家庭や学校、習い事や外の街に表出されることもあります。
このケースは、カウンセリングなどでは子ども本人のことや、親子の課題として扱われることもあります。しかし子どもの内面や親子関係を専門家に相談するケースはまれなので、それらの課題を家庭で扱わない場合(親も子もどうしていいかわからない、向き合えきれないなど)は、別の場所(学校や夜の街)に解決策を得ようとして本人も無意識に問題的なことを起こすこともあります。また子どもが大人になるまでに自分の中で消化できないと、今度は職場で起こることもあります。
子どもであれ大人であれ、このようなケースは怒りや悲しみを自分の外である他人(家族、友達、先生)にぶつけるケースと、自分自身にぶつけるケースがあります。
その表現として、家であれば部屋から出てこなくなったり昼夜逆転のような生活、また学校に通うことがだんだんと減ったり、いきなり通わなくなることもあります。そして他人を批判する発言が増えるか、自分を批判する発言が増えたりします。もしくは何も言わなくなり静かになったりもしますが、自分の外に出せない分、体調に変化が起きることもあります。
そういうときは「自分に向き合う時間をつくってみたら?」「ちょっと休憩しよう」「違う道を探してみるのも手だよ」というサインかもしれません。
もちろん、いつも「ここは自分にとって違う場所だ」「誰々が悪い」といって転校(大人でいえば転職したりパートナーを変える)を繰り返す人もいます。そういう人生を歩むのであればそれもいいと思いますが、なかなか積み上がりませんから簡単に転校を勧めはしません。
しかし、「前向きに色々ここでできることを試したけれど、やはり違う道の方がいいのでは」「限界だ」と思うのであれば、違う道を考えるタイミングなのかもしれません。もしくはそれもできないほど疲れていたら、判断できなくなっている状態にまでならないようにすることも必要です。離れることもエネルギーが必要ですが、それでもまずはちょっと離れてみてはいかがでしょうか。これは子どもでも大人でも同じですね。
この時注意していただきたいのは、すぐに次の学校を探す必要はないということです。そういった子どもは、少なくない数で教育よりケアを必要としていたり、基本的な生活を送ることが先だったりします。それは朝起きる事、夜寝る事、ご飯を食べる事だったりです(もちろん、思想家のボーヴォワールのように1日を始めることがどうしても苦手な人もいることもわかっています、思春期は夜型になりやすい傾向があることもわかっていますが)。
教育は、スポーツでいえばトレーニングをしてレベルアップを図るイメージですが、ケアが必要な場合はトレーニングより回復や治療、養護や福祉といったイメージとなります。もしあなたがスポーツのトレーナーだとして、選手がケガしているのにレベルアップのトレーニングを進めるでしょうか?まずはケガを治して日常生活を送れるようになってからですよね。でも大人にとっては、子どもの心のことなので見えないことも多く、学校に通わなくなると勉強についていけないのではとすぐに学校に通わせようとしたくなってしまうものです。また親御さんの仕事に支障があるということあるでしょう。もちろん親御さんの気持ちもわかります。と同時に、まずはお子さんがケガをしたら、まずはケガを治すことに専念する視点も持ってみてはいかがでしょう。風邪を引いたらまずは回復すること、そして誰かの頼ってみる。それは弱いことでもダメなことでもありませんよね。
以上3つのケースをご紹介しましたが、「本当は心の中でこの道に行きたいんだと気づいた」「やはりもっと違う道に行きたい」のであれば、それはまた違う人生の選択を考えてみてはいかがでしょうか。
一般的に私たちは、学校教育は1つだけだと思っていますし、他にあるということを考えたこともない方が大半だと思います。私も20代で偶然にもサドベリースクールを知るまではそうでした。
しかし、大人が、様々な国や人種、宗教、仕事、生き方、人間がいることを知っているように、子どもも様々な教育や学び、学校、育ち方があることを知られたら、最初から教育を選べますし、たとえ最初の選択が合わなかったとしても他や次の選択ができるようになります。
自由の定義は様々ですが、私は「選べる」ということが自由の1つであると考えています。もし、ある学校や教育方法に合わなかったとしても、他の学校や教育があることを知っていれば新しい道も開けます。それは一般的な学校でも、サドベリースクールでも同じことです。
心の動きを感じたら、「何かのサインかもしれない」と考えてみて、それらを前向きに使ってみましょう。
今回は「学校を探す前に知っておきたい3つの視点」の、最後のトピックについてお伝えしました。次回はいよいよ、子どもに合う学校の探し方をお伝えします。
初めての学校探しや教育探しであれ、2度目、3度目であれ、大きな流れは同じとなります。参考にしていただき、全ての子どもが自分に合った教育や学校を選んでいける社会になれば嬉しく思います。