【スタッフ教育コラム】星のかけらである私たち
先日 「大阪・関西万博」が地上では開幕しましたが、空を見上げるともうすぐこと座の方から流れ星がたくさん見える「こと座流星群」ですね。
私は25年以上前に買った宇宙の写真集を今でも持っていますし、子どもの頃、何かの景品でもらった簡易的な天体望遠鏡が家にあり、月や木星をよく見ていたくらい宇宙や星が好きでした。
思えば地球も人間も、もとはみんな星のかけらで、それが集まってあれこれあって今のようになっている。
これはなんだか当たり前のような感じもしますし、とても不思議でもあります。
そんな星について考えると、いつも思い出すことがあります。
それは、われわれはこの広大な宇宙の中で本当に本当に小さな存在でありながら、全ての物事と繋がっていること。
そして様々な視野で見ることを忘れがちであることです。
バタフライエフェクト(バタフライ効果)とは、気象学者のエドワード・ローレンツのカオス理論の概念で、「小さなことが巡り巡って大きな変化をもたらす」というもの。
この広い世界ですら全てはつながっていて、そしてそれがどんな小さなことでも影響を与えて大きな変化を生んでいるというものです。
ということは、今目の前にあることを、たった1つの視野だけで判断し行動することは、ただでさえどんな結果を生み出すのかわからないうえに、
可能性を非常に狭めてしまったり、とんでもない方向につながってしまうことも大いにありうるのではないか。
でもなぜ私たちは、全てのことと自分につながりがあり、影響を与えているかを忘れてしまうのでしょう。
どうしてこの限りないほどの広い宇宙や、人ひとりにとっては大きすぎる地球という世界で、
自分でも気がつかないほど視野が狭まってしまうのか。
その1つには、私は現代人は論理に慣れすぎているからではないかと思えてなりません。
もちろん論理は便利です。言語を体系的に発展させることでコミュニケーションを可能とし
また技術の発達で人によらずに同じ結果を生み出せる科学を発展させてきたりもしました。
それらの恩恵は計り知れない。飢えや病気を克服し寿命も延びましたね。
世界中の人と低コストで安全に関わることもできるようになった。
でもそれらが非常にうまくいったがゆえに、何でも論理的にやればうまくできると思いすぎている。
自分を他のあらゆるものや人から切り離して考えすぎているのかもしれません。
例えば教育関係でいえば、子どものあらゆることも単純に
「原因を突き止めれば解決する」と考えすぎてしまっている面があります。
もちろん何度も言うように、因果関係や論理や科学が私たちの文明を推し進めたことも確かで、先人に感謝もしています。
何もかも原因を考えなくて良いということもありません。
ただ忘れてはいけないことは、人の心は科学のように必ずしも因果関係で解明されるものではないということ。
車を運転するときは、誰でもエンジンをかけてアクセルを踏めば進みますね。そこに自分の心は関係ありません。
しかし人の心に関わるとき、その相手の心に、自分も関係していることを忘れてはいけない。
自分をその人との関係の外に置き、機械のように思い通りになると考えてしまわないことが大切だと考えています。
しかしそれを忘れると、機械を操作するように人を操作しようとしてしまう。
そして人間というのは私も含め、うまくいかないと本当に自然に原因を探し出します。
ただこの時不思議と自分に原因があるとは思わないもので、自分以外に原因を求め始めるのがやっかいなところです。
でも人は、自分に責任があるとは思いたくないものですので、
その指を自分で自分に向けて向き合うよりも、外に指を向けたくなって外に原因を探したくなるのですよね。
例えば子どもが小学校でもサドベリースクールでも行かない時は、一般的にはそこの先生や友達、教育システムなどに原因があると考えます。
もちろん、相性やトラブルなどでそれらが理由の子もいます。
しかし例えば車の故障を直すように、子どもが小学校に行かないことをそれらのように直接的に”直せる”のだとしたら、
どうして世の中ここまで学校に行かない子が増えているのでしょうか。
よくご家庭の相談を受けますが、家庭という星座であれば、
お父さんが「子どものことは妻に任せている」というときに、お父さんは家庭と自分に線を引いて、
子どもやお母さんとの関わりから一線を引いて離れているかもしれない。人間の関係に線を引いてしまっているのです。
「うちの子は自分から動けないから私が声掛けや行動をうながしてあげないと」と言うお母さんは、
うちの子は自分で動けないと信じ込んでいて、子を”自分から動けない子”にしているのかもしれない。
そして子自身がその通りに動かなくなっているのかもしれない。
つまり、全てを単純な原因と結果で考えずに、その子を取り巻く全体で、
1つの星の周りに自分も含む無数の星があって、それらが星座のように関係しあっているように考えることが大事だということ。
これを河合隼雄先生は「コンステレーション(布置)」と呼びました。
星座の星々の位置は、ある星が移動することで変わる。
そしてその星々をみて、それをどう読み解くのかもまた変わってきます。
ある子を星に見立てたときに、わたしたちもまた星であり、それぞれがどのように関係しているのか。
そして、子どもは子ども自身が自分に向き合い、私は私自身に向き合うこと。と同時に、相手にも向き合うこと。
本当にそれぞれが向き合えた時にまた、お互いの関係が変わっていきます。
そのときに、また学校に行っていない子であれば行きだすかもしれないし、別に行かないことが大したことではないと思うかもしれない。
転職ならぬ、転教(教育を変えること)したっていいわけです。
それはまた、それぞれの星が動いたときに見えてきて、新たな星座をつくり出します。
人間もまた、星のかけらでできているのですから。
(スタッフ 杉山)
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