自分を伸ばす力を伸ばす

 46歳で将棋のタイトルの1つ『王位』になられた最年長タイトル取得者の木村一基九段は、弟子入りしたころ、月に一度師匠のもとに勉強に通っていました。しかし、師匠は何も教えてくれなかったそうで、自分で学ぶことを行っていたとのことです。そして今、木村九段は弟子に教えないことをされているとのこと。
「教えてもらわなければいけないのであれば勝てない」
という言葉を話されています。勝負の世界は厳しいですね。

 でもこれは、プロ棋士の世界でなくても同じではないでしょうか。大人の世界では、誰も自分のために学びをつくってくれません。会社が研修してくれるとしても、それだけでは足らないものです。与えれた宿題をこなしているだけでは全然少ない。それは英会話教室に通うだけでは足らず、必ず自分一人で勉強する時間が必要なのと似ています。結局は自ら学ぶ必要がある。そしてそれは、寿命が延び、時代の変化と信念が問われる現代にあって益々重要度を増しています。

 では子どもの世界はどうでしょうか。私たち大人は、子どものために、子ども自身が自ら学ぶ、自ら伸びる環境をつくれているのでしょうか。そしてそれは、手取り足取り、学び方を教えることでしょうか。いつでも大人から声をかけて、導いてあげることでしょうか。きっと違います。

 現在、ある生徒は、「時間を自分の自由に使えるから」という理由で本校に通っています。

 「一般的な学校を卒業し、その後通信制の学校にも入学してみたけれど、何かしら決まった授業があった。自分は自分の時間の使い方を、自分で選びたかった。その責任も負いたかった」と言っています。現在は、様々なことに自ら興味を示し、誰に言われるでもなく自分から行動してたくさんのことを試したり、追求しています。その中で、自分を知り、世界を少しずつ広げていっています。

 自ら動く力、自分で選ぶ力、そしてその結果に責任を負う力。これらはまさに、過去から未来にまで必要な力といえます。しかし、この学校で何を学べるか、学べないかは自分次第です。それはある子には大変キツイことでしょう。でも別のある子にとってはとても魅力的なものとなります。

 自分を伸ばすことを、自分でしてみたい子にはきっと合う教育です。

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