【スタッフ教育コラム】自己を失うという危機
『自己を失うというこの最大の危機が、世間ではまるで何事もないかのように静かに行われている/セーレン・キェルケゴール(哲学者)』
「子どもには自由に伸び伸びと過ごしてほしい」
とは、誰もが思うことですね。もちろん私自身もそうです。
私はそのときに気を付けていることがあります。
これは東京サドベリースクールに14年いて、日本や世界のサドベリーを訪れ、またサドベリーや教育関係者以外の場や人にもたくさん会ってきて、学んできたことの1つです。
それは、
・のびのびと過ごしてほしいという期待を持っていないか
・のびのび過ごしてほしいといいつつ、自分の枠にはめていないか
のびのびと過ごすかどうかは本人が決めることです。
また、自分の考えるいい子や、これ(特に公教育の教科学習)をすればのびのびしていいという条件がないか。
自分に向き合うことと、コミュニケーションが鍵です。
心を開いて、自分自身に向き合って(ここ!)、相手と話し合いましょう。
お互いに人間同士として接すること、それぞれの立場もお互いに理解しあうこと。
その際に攻撃的な言葉はいりません。私は自分の弱さを隠したり、相手をコントロールしたり、条件付けをする必要がないことを知りました。
サドベリーのスタッフと生徒であれ、会社の上司と部下であれ、夫婦であれ、そしてもちろん親子であれ、「人間同士」であることと「立場の違い」は両立できるものです。
それは自立の一側面です。
一人ひとりが自立できると、誰かが誰かの領域に踏み込んだり、自分の不安を相手に押し付けたり寄りかかったりしないので、気持ちのいい関係でいられます。
風通しがよくなります。
もし、人が人をコントロールしだしたら、相手は抵抗するか、従順になります。
それは自分をだんだんと削いでいくことになります、お互いに。
ついには自分の中心が相手になってしまいます。それは自己を失うこと。
かくいう私も道半ば。これからもずっと意識し続けることになると思います。
でもそういうことも率直に話し合える生徒や仲間、保護者の皆さんがいるというのは、なんと幸福なことかと思います。
日頃から、自分に向き合い、コミュニケーションを取り合いましょう。
お互いに気持ちよく生きていくために。
スタッフ:杉山