【スタッフ教育コラム】子どもたち「も」社会の主役として育つ
ある日の学校運営ミーティング。
6歳の生徒が手を挙げ、15歳の生徒とは違う意見を出しました。
「僕はこう思う。理由はね——」
大人のスタッフも、同じ1票を持つ一員として、静かにその言葉に耳を傾けます。
これが、東京サドベリースクール(TSS)の日常です。
授業もテストも時間割もない。
でも、この学校で子どもたちは毎日、本物の民主主義を「経験」しています。
「知っている」と「経験している」は、まったく違う
民主主義とは何か、多くの人は既存の学校で習っています。
「国民が主権を持ち、話し合いで物事を決める仕組み」
そう答えることができます。
でも、「民主主義を実践している」と言える大人は、どれほどいるでしょうか。
TSSでは、学校の予算作成と実行、校則づくりや変更、スタッフの採用と解雇にいたるまで、
生徒一人ひとりが1票を持ち、ミーティングで決めていきます。
6歳も13歳も15歳も、スタッフも、同じ重さの声を持ちます。
最初は戸惑う子もいます。
「え、本当に学校のこと決めているの?」と。
でもやがて、自分の一言が、本当に何かを変えることができることに気づきます。
そしてその決定の結果を、自分たちで引き受けていくことも。
この「引き受ける経験」こそが、民主主義を制度としてではなく、生き方として体に刻んでいきます。
「違う」から始まる、共に生きる力
年齢混合の環境では、価値観も、話すスピードも、興味も、全員が違います。
多数決で物事を決めるとき、少数派になる子も出てきます。
そのとき大切なのは、「少数の声にも耳を傾けようとする文化」を積み重ねることです。
TSSでは一人ひとりが意識することと、また話し合いのルールとしても制度化しているほど。
TSSで育つ子どもたちは、「みんなと同じにならなければ」という不安ではなく、
「違うからこそ、話し合う意味がある」という感覚を身につけていきます。
それは単なる協調性とは異なり、違いの中で関係を築く力となっていきます。
これは、多様性が当たり前となった現代社会において、どの子にとっても本当に必要な土台になります。

今、この時代に、この学校が必要な理由
世界に目を向けると、民主主義国家の数は減り続け、分断や排他的な言葉が広がっています。
国内でも、「どうせ変わらない」「自分には関係ない」という諦めが静かに根を張っています。
その背景の一つには、「ルールは上から与えられるもの」「決めるのは大人」という環境で育ってきた、私たちの経験があるかもしれません。
民主主義は、制度だけでは維持できません。
「自分も社会をつくっている一員だ」という実感と責任感を持った市民の努力によって、初めて支えられます。
その意識が薄れたとき、制度は形だけになり、やがて一部の人間に利用されてしまう。
私たちが子どもたちに渡したいのは、「民主主義とは何か」という知識ではありません。
「自分たちのことは自分たちで考え、決め、つくっていける」という体験から生まれる当たり前な感覚です。
自分たちでつくっていける感覚を養う
「うちの子に、本当に合うでしょうか」と入学検討中の保護者の方から、よくご質問いただきます。
保護者の方がご自身の不安に向き合い、子どもが「サドベリーでやっていきたい!」と思えれば大丈夫です。
ただ、TSSに通う子どもたちは、ある日突然、何かが「できるようになる」というより、少しずつ、自分の言葉を持つようになります。
意見を言えるようになる。相手の話を聞けるようになる。失敗しても、また立ち上がれるようになる。
それは、強制されたからではありません。自分で選び、自分で経験するからです。
子ども時代は、一度しかありません。また人生の7分の1にもなる膨大な時間です。
その時間を、自分らしく、のびのびと生きること。それ自体が、豊かな未来への土台になります。
民主主義は、知識として教えられるだけでできるものではなく、日々の暮らしの中で経験し、生きられるものです。
東京サドベリースクールは、子どもが、自分たちの社会を自分たちでつくっていける経験をするための学校でもあります。
(スタッフ 杉山)
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<開催日>月1休日・毎週火曜
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