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杉山まさる

民主主義の土台は、どれだけ一人ひとりが動くか

1人ひとりが考え動く民主主義を経験する学校、東京サドベリースクール。

なぜ、生徒にも学校経営やルールづくり、学校内の司法や働く教職員(スタッフ)の雇用にまで1票を持たせているのか。

それは家庭から世界まで、一人ひとりが自分たちの社会に、主権者として関わることが大切だと考えているからです。

というと堅苦しい感じですが、

要は「自分たちの社会は、自分たちでつくっていこう!」というもの。

そういうものを主権者教育と言ったり、市民教育(シチズンシップ教育)と言ったりします。

そして一般的にそれらは、学問としての”知識”として吸収したり、”模擬”形式で授業を受けるものですが、

TSSは、まさに生徒にも1票の権利が与えられており、自分たちの社会である学校を、

自分が当事者として”実際”につくっていく”経験”をする教育なのです。

もし、皆が自分たちの社会について考え行動しなければ、社会は一部のそれをする人達の思い通りになってしまいます。

そしてその一部の人たちが、自分たちに都合の良い制度をつくり、それが他の人たちと公平でなかったり、

ないがしろにする制度であればどうなるか。

それは民主主義の形をしていますが、一部の独裁です。

そして、それに無関心な状態もいけませんね。それは民度が高くない状態なのです。

理想は、全ての人が当事者意識を持って、自分たちの社会について考え行動している状態です。

もちろんそれはすぐにできるものではないし、ずっと追い求めることでもあります。

ただ私たちは、平和や人権と同じように、追い求める価値のあることだと考えています。

だからこそ、子ども時代から子どもたちが実際にそれを経験できるように、

あえて1票が持てたり、行動できるようにしているのです。

民主主義の土台は、どれだけ一人ひとりが動くか。

それを、子ども時代から実際の権限と、行動する経験ができるのがTSSなのです。

そしてそのために必要なのが、自分の意見を伝え、相手の意見も尊重する話し合いです。

TSSでは開校以来、生徒と一緒に様々な権限の話し合いの場(ミーティング)をつくってきました。

朝夕ミーティングとは

本日ご紹介するのは『朝夕ミーティング』というもの。

こちらは、何か決めたいことがあった時に話し合い決められる、毎日朝と夕方に開催できる話し合いの場です。

内容は、

「1日体験したい子がいるが日程はどうする?」とか

「ボランティアスタッフになりたいと言ってくれている方がいるがどうするか?」など。

まれに、スクールの校則(ルール)を新しく作りたい、変えたい、なくしたいという話し合いもあったりします。

ルールを変えるのは、国でいえば法律を変えることなので、大きなことです。

そのため、朝夕ミーティングで可決された後、

もっと大きなスクールミーティングという週に1度だけ開催できる話し合いの場でも可決が必要です。

ざっくりいえば、日本では国会で立法が行われていますが、まずは委員会(朝夕ミーティング)で内容を詰めて、

本会議(スクールミーティング)で確認・決定するようなイメージ。

この制度自体も、生徒と決めました。

入学したてや、あまりそういうことを意識したことのない生徒は、普段何気なくこの朝夕ミーティングに参加しています。

しかし知らず知らずのうちにでも、確実に答えと社会をつくる経験を積み重ねていきます。

そもそもTSSは、様々なことを実際に経験し、行動できることに重点を置いています。

朝夕ミーティングは、TSSの民主主義を経験できるものの中でも、最も身近な熟議の場といえるでしょう。

話し合うことを通じて、答えのないことに答えをつくること、自分から参加すること、他者の話しに耳を傾けることなど、生徒たちはたくさん学んでいます。

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