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協調性、それはサドベリーや学校にとどまるものではなく社会に通ずる「社会性」の一つですよね。サドベリーの中でも話し合いや普段の生活の中で協調性を必要とする場面はたくさんあります。そしてもちろん皆さんの生活の中にも、対人関係が有る限り最低限、協調性というものは必要なものでしょう。

では協調性と関連し出てくる同調という言葉をご存知でしょうか。意味に関しては後ほど書かせていただきますが、この二つの違いを説明できますでしょうか。

この二つは案外履き違えが起きやすいものだと思っていて本文では、この二つの違いについて重点的にお話しし、そこから見えてくる人間関係の構築方法などを考えていきたいと思います。

そもそもこの二つの意味と違いについてですが、まずは意味を記します。

協調性とはどんなものを指すかというと、いろんな価値観や考えを持つ人たちと折り合いをつけ、時に周囲を説得しながら、一つの目標に向かっていく力。

つまりは他者の意見も自分の意見も尊重し、その中からお互いが納得できる妥協案などを出したりする協力する力、ですね。そして同調性というのは主体性を持たずにただ周りと同じことをする、つまりは、自分に意見があってもそれを軸とせず周りに合わせることや、思考を停止させたまま周りに合わせることを指します。

ざっと意味はこの通りです。意味を知れば大体の違いも見えてきます。協調性が協力する力『主体性あり』に対して、同調性は無関心または協力はするが『主体性なし』というような感じです。この同調性の「協力はするが」というところですが、余計な衝突を避けるための協力をするという意味でここには記させていただきました。

意味や違いが分かった上で、なぜこれを履き違えるといけないのかといえば、この二つは人間関係に大きく影響するものであり違いを理解していないと対人関係の中ですれ違いが起きたり自分自身が何者であったか分からなくなってしまうことがあります。ですのでその内容を理解しておいた方が良い、と私の中では結論付けています。

そして上記のほとんどが同調に関しての危険性なので協調性を同調性と間違えることが危険であるということが前提です。

このトラブルなどは、理屈ばかりではあまりわかりにくいと思うので具体例などを交えながらこの違いと履き違えた場合に起こりうることをお話しします。

例えば友人間で嫌われたくないと思ったり、本音を言って相手を傷つけないように人の目を気にした結果、自分ではない人格を演じることになったとします。本当の自分とは違うがそれなら相手が認めてくれる、承認欲求が満たされることをいいことに、その人格を演じ、相手に流されながら生活し続けたとしたら?その結果、自分が何をしたいのか、自分は何が好きなのか、どんな価値観を持っていたか、どんな思考をしていたか、忘れてしまいます。

そして演じる自分と本当の自分とのギャップに苦しむこともある。こんなことが実際にあります。それも極端に少ないというわけでもないくらいに。この話の中での自分自身とは、いわば本人の個性であり、この話の主人公は個性を邪魔なものだと思い、捨ててしまった。とてももったいないことをしてしまった例です。

捨ててしまったものを元に戻すことは可能でしょうけれど、一度消えたものを取り戻すには相当な労力を使うことになると思いませんか。サドベリーの中でいうなら、私が入学前の体験期間だったとき、生徒とのトラブルが発生したことがありました。

その内容を簡潔にいうと、私が自分の気持ちを主張しなかったせいで相互ともに相手の感情が掴めず、結果すれ違ってしまい良からぬトラブルが起きてしまったという事例です。このとき学んだことは、自分で主体性を持たず流されてばかりいると、自分だけではなく他者までも巻き込んで迷惑をかけてしまう、ということです。

サドベリーは比較的自分の意見を言いやすく、その意見で変えられるものも多いので、これもまたもったいないことをしてしまいました。

この二つの例を紹介した上で、協調性と同調性を間違えたまま人間関係を構築していくと、良いことはほぼ起こらないということがわかります。

二つの例だけじゃ心許ない場合は、この条件で発生するよくない事例などを調べて見てもらえるといいかもしれません。結局として、自分にも他者にも嘘をつくかのように同調する行為を続けてしまえば、自分が誰なのか分からなくなったり、自分だけでなく周りも巻き込んだトラブルが発生する可能性が高い、ということをお話ししました。

協調性を持つことや相手を尊重することが大事だとは公立の学校でも、もちろんサドベリーでも生活の中で教わります。ですが協調性を同調性と履き違え、上記に記載したようなことにこの記事を読んでいただいた方々(同年齢ぐらいの方)がなってしまわないようにとそんな思いを込めてこの記事を作成しました。

すべての人がこうなれというわけではございませんが比較的同調圧力が強いと言われる日本で、良好な人間関係を皆様が皆様なりに構築していただければ嬉しいなと思います。

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